その指先の変形、「ヘバーデン結節」かも? 40歳以上の女性に多く発症する国民病の実態

健康・美容

更新日:2020/5/7

■足指にも「ひどい外反母趾」として起こる「足ヘバーデン(仮称)」

 さらにヘバーデン結節は手指だけでなく、足指でも起こる。中高年の「ひどい外反母趾」のほとんどは、この病気が足指の付け根の骨や「中足関節」に発症したものだそうだ。足指に起こる「足ヘバーデン(仮称)」は進行性で、特に痛みがある急性期に適切な治療がなされないと、2か月から3か月で急に曲がったり骨が出っ張ったりするなど、見るからにひどい外反母趾へと進行してしまう。

 気をつけたいのは、まだこの病気の実態が知られていないため、「関節リウマチ」や「CM関節症」などと間違われてしまうことだ。

・手指の第一関節が太くなって変形するのが「ヘバーデン結節」
・指の付け根の関節が腫れたり変形したりするのが「関節リウマチ」
・親指の付け根の関節に起こるのが「母指CM関節症」

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 本書ではこれらの違いをていねいに解説しているので、気になる方はぜひ手に取ってほしい。しかしこういった「診断」は素人じゃとてもできない。「もしや?」と感じたら、すぐに専門医を頼ろう。

■自分でできるヘバーデン結節の改善方法

 ヘバーデン結節は関節リウマチと違って、現状では治療法が確立していない。そこで自分で改善するテーピングが大切になる。

「指先ヘバテープ」というヘバーデン結節専用のテープが市販されている。簡単で便利に複数の指を安静固定できるので、ぜひ薬局やネット通販で探してみてほしい。もし「指先ヘバテープ」がなければ、厚紙副子(添え木)を指の手の平側に当て、薄いテープで弱めに巻いてもOKだ。

 とにかく指先に痛みを感じたら、テーピングで安静固定し、炎症をできるだけ早く鎮め、変形を最小限に食い止めること。まずは1か月ほど安静固定して、よくなったあとも引き続き3か月から半年を目安に安静固定しよう。

 また痛みが強いときや炎症期には、指先ヘバテープ2枚を上下または左右に貼って、固定力を増す方法もある。これらの方法は本書で詳しく解説されているので、気になる方はチェックしてほしい。

 医学が大幅に進歩した21世紀になっても、実態の分からない病気がまだまだ存在する。ヘバーデン結節はその1つであり、「関節リウマチの治療を受けても緩和しない」「外反母趾がひどくて悩んでいる」という人は、この病気を疑ってほしい。できれば一人で判断せずに専門医を頼ってほしい。

文=いのうえゆきひろ