『ぷよぷよ』が大流行したワケを一言で解説! マンガで紹介する人気ゲーム誕生秘話

エンタメ

2019/5/24

『若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春』(田中圭一/KADOKAWA)

『星のカービィ』、『MOTHER』、『ぷよぷよ』、『ファイナルファンタジー』、『どこでもいっしょ』。これら名作と語り継がれるゲームは、いずれも1980年代から90年代、ゲーム業界の「青春期」に誕生した。

 人々を魅了し、記憶に残り続ける名作ゲーム。その開発秘話に興味を持つ人も多いはず。それをレポートしたマンガが『若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春』(田中圭一/KADOKAWA)だ。

 作者は、手塚治虫風のキャラ絵が特徴の漫画家・田中圭一氏。作者自身ゲーム会社に勤めていたこともあり、業界の内部をリアルに描いている。ゲームクリエイターたちがどんなことにつまずき、それをどのようにして乗り越えたのか。彼らの葛藤やゲームに対する熱い思いが込められたストーリーが全11話掲載されている。

■『ファイナルファンタジーⅦ』無謀と言われたオープニングムービーの構想

『ファイナルファンタジーⅦ(FFⅦ)』で世界を震撼させたのが、流麗なオープニングムービー。『FF』の生みの親である坂口博信氏は、その構想をチームに打ち明けた当初、周りからは「何年かかるか分からない」と相手にされなかった。

 そこで、坂口氏は最先端のCG技術に着目。ゲームと無縁だったCGプログラマーを口説き落とし、チ

ームに加えた。坂口氏に集められたスタッフたちは、なんと、たった2カ月で映像化を果たしてしまった、というから驚きだ。

 人は“限界”という言葉をネガティブにとらえがちだ。しかし、坂口氏にとって、限界とは自分を奮い立たせるライバルのような存在なのだろう。限界を作るのが人であれば、そこから考えや工夫を凝らし、限界を超えていくのも人である。皆さんもビジネスなどで“限界”を感じたときは、彼のように己を鼓舞してみてはいかがだろう。

■『MOTHER』コピーライターが提示した新しいRPGの形

 コピーライターの糸井重里氏がゲームデザインとシナリオを担当し誕生したRPGが、『MOTHER』だ。現代アメリカ風の町が舞台で、ごく普通の少年が主人公。ファンタジーな世界観がゲームとしては当たり前だった当時(1989年)のRPGに対し、日常的なリアルを感じさせる本作は、画期的な作品だった。

 また『MOTHER』は、アイテムのレベルを身近な形容詞(ふつうのバット、さいこうのバットなど)で表現したり、プレイヤーの本名をエンドロールで表示させたりするなど、プレイヤーとゲームの距離をぐっと近づけ感情移入を誘う糸井氏独自のアイデアが際立った。これも、さまざまなジャンルの商品やサービスに関わってきたコピーライターだからこそ発想できたのだろう。

 ゲーム開発の経験がなくとも、自分の得意なことを生かしてゲームを作ることができる。未経験の分野に対する気後れは付き物だ。しかし、糸井氏のように自分の得意分野に引き込めば、他分野の挑戦であっても立派に戦えるのである。

■『ぷよぷよ』ゲームを面白くするのは技術ではない…?

 1990年代に入り、ゲームのクオリティ、開発コストはより高まっていく。その一方で、シンプルなパズルゲーム『テトリス』が人気を博していた。そういった状況をみて、『ぷよぷよ』の開発者である仁井谷正充氏はこう考えた。

 

“結局ゲームを面白くするのは技術じゃない。「アイデア」なんだ”

 同じ色の「ぷよ」を4つ繋げると消すことができる。連鎖を組んで対戦相手に「おじゃまぷよ」を送りつける。画面の上限まで「ぷよ」が溜まってしまった方が負け。ルールはとても簡単だ。しかし、“対戦する面白さ”がそこにあった。このゲームシステムは、まさにアイデアの賜物と言える。

 技術にこだわらず、人が楽しめるものは何か。この仁井谷氏の考え方は、ゲームに限らず、小説やあるいは料理など、他の創作においても根幹となる考え方だろう。 

 本書はゲームの名作を違った視点から眺め、これまでとは違った楽しみ方を教えてくれる。また、今までゲームにあまり興味がなかったという人にとっても、「作り手たちの視点」というポイントで、ビジネスなど多くのヒントになるはずだ。

文=冴島友貴