【1~5歳が寝ないと大変なことに…】子どもの睡眠を中心に1日を考える!より良い発達のための「脳のメカニズム」

出産・子育て

2019/5/26

『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』(成田奈緒子、上岡勇二/産業編集センター)

「寝る子は育つ」という言葉があるけれど、やはり、よく寝る子はよく育つという。『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』(産業編集センター)によると、脳を発達させるためにも、子どもはよく寝ることを必要とする。

 逆に言えば、寝ない子は脳がよく育たない。今の時代、子育てのワンオペや共働き家族も多く、十分な睡眠環境をつくれないケースもよくある。しかし、脳の発達を妨げると、さまざまな問題に結びつきやすくなるのだ。たとえば、「便秘が治らない」という体の問題や、「勉強をしてくれない」という学習能力の問題、「落ち込みやすい」といった心の問題など。

 本書では、小児科医・医学博士の成田奈緒子さんが、脳が育つメカニズムを解説している。耳の痛い話もあるが、子どもの睡眠不足は思った以上に重要な問題だと受け止めて、環境を変えるきっかけにしてほしい。

■脳の土台を整えるために、やはり早寝早起きは大事

 子どもの脳が十分に育つには、生まれてから約18年かかるそうだ。脳を3つにわけたとして、育つ順番は「からだの脳」→「おりこうさん脳」→「こころの脳」と決まっている。いちばん最初に育つ「からだの脳」は、他の2つの脳が育つための土台にもなる大事な部分だ。

「からだの脳」がよく育たないと、その後に続く、学習能力を整えるための「おりこうさん脳」や、よい心をつくるための「こころの脳」にもよくない影響が出る可能性がある。

 では、どうしたら「からだの脳」が育つのか。「からだの脳」は、「食べる」「体を動かす」「感情をつくる」といった、生きるために最低限必要な機能をつかさどっている。1つ大事なのは、朝起きて夜眠くなるという睡眠と覚醒のリズムをつくること。つまり、早寝早起きはやはり子どもにとって重要なのだ。

「からだの脳」は、0~5歳によく発達するという。5歳を過ぎてからでも手遅れではないけれど、最も重要なのは5歳までの時期、ということを覚えておきたい。

■睡眠と覚醒のリズム作りを生活の中心に

 早寝早起き。これがなかなか難しいこともある。しかし、リズムが整えば「毎朝ぐずる」「毎晩寝てくれない」といった悩みから解放されるかもしれないのだ。本書にある、子どもが眠りやすい環境作りのコツを参考にしてほしい。

 たとえば、これはちょっと大胆な例かもしれないが、夕食の後にしていた入浴を、夕食前に済ましてしまうとか。筆者はこれを試したところ、子どもの寝つきがよくなった上に、夕食後に家族の時間をゆっくりと過ごせるようになって、とてもいい感じである。

 体温が下がったときに眠気がくるので、寝る直前に体を温めるような入浴は寝つきが悪くなるらしい。今まで、寝る前にお風呂で温まると寝つきが良くなると信じ込んでいたのは間違いだったようだ。

 他にも、筆者としては常識を覆される項目がいくつもあった。豆電球はつけないで真っ暗にしたほうがよく眠れる、などは手軽に試せるだろう。

脳のバランスが崩れないように、睡眠と覚醒のリズム作りを生活の中心に据える努力を大人が心がけること。

 今まで、2歳児の寝つきが悪く悩んでいたが、元気に育っているからまあいいや、とタカをくくっていた。でも本当にそうだろうか。考えてみれば、毎朝ぐずるし、物事に集中できない一面もある。これらは睡眠不足が原因かもしれない。さらに言うと、今の段階で睡眠の土台ができていないと、後になってもっといろんな悩みが出てくる可能性もある。

 著者が語る質のよい睡眠とは、電気を消したらすっと眠れて、途中で何度も起きないこと。30分以上寝つけない子どもや、ちょっとした物音で起きてしまう子どもは、環境を見直してもいいかもしれない。1週間もあれば、夜は勝手に眠くなるように脳が変化するという。年齢や家庭の事情など、シチュエーションにあわせた解決法が参考になるはずだ。

 勉強ができて体調もよく、論理的思考で相手の気持ちも考えられる…。そういった健全な能力は、正しい睡眠をとった子どもにこそ宿る、と打ち出す本書。そのための環境作りは、周りの大人にかかっている。なんとなく見過ごしてきたことも、ここらで全力で取り組んでみてはいかがだろうか。

文=吉田有希