「怒ってはいけない」と思うのはNG! 衝動的な感情の上手なコントロール法とは

暮らし

公開日:2019/6/16

『怒らない習慣力』(種市勝覺/WAVE出版)

 ぼくは怒ることが苦手だ。

「相手にどう思われてしまうのか」
「関係性が壊れてしまうのではないか」
「ケンカになったらどうしよう」

 ついそのように考えてしまい、感情を素直に表現することに尻込みしてしまう。“怒れない”ことがクセになっているのだ。

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『怒らない習慣力』(種市勝覺/WAVE出版)は、決して“怒ってしまう人”だけのための本ではなく、ぼくのように感情との付き合い方に悩むあらゆる人の人生をポジティブに変えてくれる本だ。空海密教の修行を行なって阿闍梨となった種市勝覺氏が、小手先の怒らないテクニックではなく、自分のあり方を根底から見直させてくれる。

“「怒ってはいけない」と思ってはいけない”

 これが本書の重要なメッセージだ。自分の意思では変えられない空模様のように、人間の心も日々移ろいゆく。“心模様”はコントロールできず、受け止め方の工夫をすることしかぼくたちには残されていない。

 そして、自分と感情を切り離して捉えることを本書は勧める。

 おいしそうなお菓子を見たとき、食べたいと思っても、「ダイエット中で太るから食べるのはやめよう」と考えて実際には食べないことがある。そんなときは「食べたい」という衝動的な感情はきちんと受け止めて、「ダイエット中でも食べたいものは食べたいよね」とまずは自分の思いを尊重してあげることが大切だ。「抱いてはいけない感情はひとつもない」と種市氏は言う。

 本書を読み、ぼくはハッとさせられた。自分の感情にふたをすることで、皮肉にもぼくは感情に振り回されていたのだ――。

 ぼくのように感情に振り回されやすい人の原因を、本書は4点挙げている。

(1)受け止め方のクセ
(2)余裕がない
(3)自分のルールを他人に押しつける
(4)自尊心の低さ

 例えば「原因(3)自分のルールを他人に押しつける」を抱えている人には、幼い頃から無意識に身についている“親ルール”の中でも不要なものを手放すことを提案する。その他の原因についても対処法が提案されている。詳しくは本書を読んでみてほしい。

“人生の質は、毎日を「どの感情で過ごすか」で決まる”

 衝動的な感情が立ち現れることは、本当の自分を知るチャンスなのだ。きちんと感情を受け止め、振り返ることで、平常心の自分を作り、人生の質を高めることができる。

 静かな場所でじっくりと読むのがおすすめの本だ。

文=えんどうこうた