2019夏アニメで突出した重厚感! ダークファンタジー「かつ神」の魅力とは?

アニメ

公開日:2019/7/29

『かつて神だった獣たちへ』(めいびい/講談社)

 別冊少年マガジンで連載中の『かつて神だった獣たちへ』のアニメ放送が7月からスタートしている。原作の人気も高く、広瀬アリスなど芸能人のファンも多い本作は、第1話の放送から大きな話題を呼んでいる。

 本作は、禁忌の技術を用いて生み出された「擬神兵(ぎしんへい)」と呼ばれる獣と人間との争いを描いたファンタジー作品。愛憎や因縁といったダークな人間模様も描きながら、かつての過ちを正すために戦い続ける主人公を中心とした物語だ。アニメ化されたことでさらに魅力を増した本作の見どころを紹介する。

擬神兵とは? 獣とは? 「かつ神」のストーリー

 パトリア大陸に生まれた民主主義国家パトリア。経済的不一致から北と南の2つに分裂したこの国では、長きに亘る内戦が続いていた。劣勢に追い込まれた北部は、南部打倒のため、ある技術を用いてしまう。

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 人間を異形の兵士へと造りかえるその技術は、人の姿と引き換えに、神にも喩えられる強大な力を得るというものだった。禁忌の技術を用いて生み出された「擬神兵」の力により、戦乱は終息へと導かれることとなった。

 時は経ち、戦争が過去へと移り変わった今。人の姿と引き換えに擬神兵となった者たちは、その過ぎた力故に、人々から獣と呼ばれ、恐れ蔑まれる存在へと変わっていた。

 元擬神兵部隊の隊長・ハンクは、獣に身を堕としたかつての戦友たちを殺すことで救うための旅を続けていた。そんな旅の最中、擬神兵だった父の仇を探す少女・シャールと出会う。シャールは父の死の意味を知るため、擬神兵と戦い続けるハンクと共に旅に出ることを決意する。仲間殺しという罪を一身に背負い続けていくハンクの行き着く先とは?

制作陣が生み出す複雑な心理描写

 本作は、複雑な感情が入り交じる作品だ。原作ファンの間でも各キャラクターの激しく揺れ動く感情表現には高い人気があり、アニメ化されることで、それがどのように描かれるのかが放送前から注目されていた。

 監督に『彩雲国物語』の宍戸淳、シリーズ構成を『ゾンビランドサガ』の村越繁、キャラクターデザインと総作画監督を『DAYS』の新沼大祐が務める。アニメーション制作は『ユーリ!!! on ICE』『この世界の片隅に』を手掛けたMAPPAが行っており、丁寧に作られた映像は、期待以上と高い評価を得ている。

作品を彩る声優陣にも注目

 さらに各キャラクターを担当する声優陣の豪華さも話題になっている。ハンク役は小西克幸、ヒロインのシャール役は加隈亜衣が務めるほか、坂本真綾や早見沙織、内山昂輝といった第一線で活躍する面々がキャスティングされている。主要キャラはもちろん、脇役に至るまで、全く隙のない布陣なのだ。

迫力のOP曲が作品をさらに盛り上げる

 オープニング主題歌は、まふまふが歌う「サクリファイス」。2019年7月現在、当楽曲のYouTubeでの総再生回数は600万回を超え(2019年7月下旬時点)、その反響の大きさを知ることができるだろう。作品の世界観に合うように「これ以上ない曲を書けるよう努めました」と楽曲制作時の気持ちをまふまふは語っている。アニメ「かつ神」を構成する重要な要素を担っていることがうかがえるだろう。

物語はまだ始まったばかり!

 アニメは7月1日に初回が放送されているが、物語はまだ序盤のため今から見始めても十分楽しめるだろう。

 かつての仲間を救うために殺す。切なく哀しい選択と戦いに苦しむ登場人物たちの心情、擬神兵同士の激しい戦闘シーンが見どころの『かつて神だった獣たちへ』。特に重厚かつダークな世界観がお好みならば、ぜひ視聴していただきたい作品だ。

文=うすいよしき