この快感、やみつき…! 日々頑張るオトナたちにおくるスーパー快楽コミック『サ道』
更新日:2019/7/27
サウナは単なる娯楽場ではなく、疲れた羽を休め、明日への活力を蓄えられる憩いの場だ。『マンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜』(タナカカツキ/講談社)を手に取り、サウナの奥深さを知ると、そう思わずにはいられない。
本書は日本でただひとりの「サウナ大使」が手がけた、“サウナ伝道漫画”。2019年5月16日より『モーニング』(講談社)にて週刊連載が再開され、2019年7月19日からはテレビ東京で実写化もされている注目作だ。
第1巻では、サウナが苦手だった「私」が本当の気持ち良さを偶然知ってしまい、サウナ中毒になっていく様が描かれていた。確実に気持ち良くなれるサウナの入り方に気づき、「快楽」を求める「私」はコミカルで味わい深く映った。そして、この度発売された2巻では前巻同様にサウナのアレコレが学べるだけでなく、サウナを通じた人間ドラマも楽しめる。
60~100度の高温部屋にさまざまな人たちが一挙に集まり、何をするでもなく、ただ時が過ぎるのを待っている…。サウナでしか経験できないその不思議な時間に私たちは魅了されていく。
生きていると、会社や家庭で嫌な思いをし、心がすり減ってしまうことが何度もある。そんな心を癒し、ととのえてくれるのがサウナの凄さ。サウナという非日常感の中だと、悩ましい出来事を別角度から見られるようになり、問題に対する解釈を変えられる。すると、生きる意欲が回復し、自然と心が前向きになるのだ。
今の時代は意識をしていなくても、視覚や聴覚にさまざまな情報が飛び込んでくる。その度に、心がゴチャゴチャになったり、疲れ切ってしまったりすることもあるだろう。そんな時代だからこそ、サウナのように閉鎖的で己と向き合える空間が求められているように思えてならない。
サウナはいわば、疲れ切った人々を生き返らせるパワースポットのような場所。静寂は極上のBGMとなり、人々の痛みを和らげるのだ。
■サウナで“ととのう”ってどんな感覚?
日頃から習慣的にサウナへ足を運ぶ“サウナー”はサウナ室に入った後、水風呂に入り、休憩をすると“ととのう”と話すが、サウナにあまり馴染みがない方にとっては“ととのう”という感覚が分からないのでは? その感覚を上手く表しているのが、作中の「サウナマジックかしら」のストーリー。
同僚のミズキに影響を受けてサウナに行くようになったトン子はある日偶然、ミズキとサウナで遭遇。一緒にサウナを楽しんだトン子は“サウナマジック”にかかり、いつもよりおしゃべりに。このサウナマジックこそが、“ととのう”に深く関係している。
自分に自信がなく、他人の顔色を窺っていたトン子はサウナという特別な空間で、別角度から自分を見つめることができるようになり、心身をととのえることができたのだ。トン子のすっきりとした表情を見ていると、読者も早速“ととのう”体験をしてみたくなることだろう。
喜怒哀楽が溢れている生活の中では、心が荒んでしまうことも多い。完璧ではない私たちは自分の汚い一面を誰かに見せてしまい、自暴自棄に陥ってしまうことだってある。けれど、そんな時に自分を癒し、ととのえてあげられる場所があれば、人はもっと強く、ラクに生きられる。
全国各地にあるサウナは今日も私たちの心と体を救い、明日を生き抜く力を与えてくれている。本書に収録されている、サウナ好きが選んだ全国のとっておきのサウナ50施設のリストを参考に、ぜひあなたもオトナの快楽を実感してみてほしい。
文=古川諭香
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