こんな人は要注意! 他人事ではない、街金業者がこっそり教える多重債務者の末路

社会

2019/8/11

『ぼく、街金やってます 悲しくもおかしい多重債務者の現実』(テツクル/ベストセラーズ)

 突然だが、あなたはこれらの性格や特徴に心当たりはないだろうか?

□自宅の片付けが苦手でモノを捨てられない
□貯金箱に小銭がパンパンに入っている
□どちらかというと楽天的
□細かい作業や文章を読むことは好きではない

 実は、これらはどれも「街金」を20年以上営む人物が気づいたという、「多重債務に陥る人に共通する特徴」。当てはまってドキっとした方もそうでない方もぜひ注意点を読み進めていただきたい。

『ぼく、街金やってます 悲しくもおかしい多重債務者の現実』(テツクル/ベストセラーズ)は、前述した街金を営む著者・テツクルさんがこれまで目の当たりにしてきた生臭いお金の世界と多重債務者の人間ドラマがたっぷりと収められた1冊。返済するあてもないまま借金を重ねてしまう多重債務者のエピソードを、街金ならではの視点でユニークかつ赤裸々に紹介している。

■街金を経営しているのはどんな人たち?

 街金は、国や都道府県に貸金業者として登録し、厳しい監視の下でお金を貸しているため、闇金とはまったくの別物だ。街金を経営するには「貸金業務取扱主任者」という国家資格を持った人が必要だが、その合格率は20~30%と門戸は狭い。金利も取立ても法律による範囲内だ。

 そう教えてくれるテツクルさん自身は、もともと闇金の利用者だったという。20代の頃、当時働いていた会社の都合で独立を迫られ、右も左も分からぬまま社長となり、闇金からお金を借りるハメに…。しかし、1週間で10万といういわゆる「トイチ」の利息が返せず、闇金で働きながら返済していた時に、誘いを受けて街金の世界に足を踏み入れることになった。

 現在、池袋にある風俗ビルの一角で街金を営むテツクルさんは、これまでたくさんの多重債務者と出会い、その度に債務者を絶望させるようなことがあったというが、新たな多重債務者は後を絶たないという。

 なぜ人はお金を借りてしまうのか。そして、多重債務者になるのはどんな人なのか。それについて学べる本書は、反面教師として大切に読み進めたくなる。

■「いい人」でも多重債務者になり得る。その行く末は――

 テツクルさんが出会った多重債務者たちのエピソードはどれも強烈だ。他人の不動産を担保にしてお金を借りる人や、街金の取立て時に反社の人に立ち会ってもらい、返済額を安くしてもらおうと目論む人など、世の常識はまったく通用しない。

 しかし、なかには心の隙につけこまれ、騙されて多重債務者になってしまったという善人もいるという。

 テツクルさんが出会った、地方都市の地主のひとり息子・Gさんもそのひとり。親兄弟もなく、友達づきあいもなかったGさんはひとりで寂しい生活を送っていた時、行政書士に騙され、不動産を担保に借金を重ねた結果、多重債務者に。返済に困ったGさんは首をつって自殺した――。

 多重債務はどこか他人事のように感じられるかもしれないが、実はそうではなく誰にでも起こり得ることだという。自分の資産をきちんと守りたいと思うならば、蛇の道を知る蛇に、生臭いお金の話を教えてもらい知識をつける必要もありそうだ。

 本書には、債権者であるテツクルさんと債務者との対談も収録されているので、そちらも要チェック。もしかしたら自分も…とわが身のために参考にしながら、「借金が必要ない生き方」について学んでほしい。

文=古川諭香