「犬でもいいから友達が欲しい」孤独の大学生の叫びに涙!?『全員くたばれ!大学生』

マンガ

更新日:2019/8/22

『全員くたばれ! 大学生』(サレンダー橋本/扶桑社)

 みなさん、大学生という生き物に対してどんなイメージを抱いていますか? 自分の大学時代を思い返してみたのですが、友だちと飲んだくれたり、バイトに行き過ぎて単位に窮したり、とくに将来に対して何のビジョンもない堕落した日々を送っていました。社会に出た今、なんて贅沢でムダな時間を過ごしていたんだ、と衝撃を受けたと同時に大学に通わせてくれた両親にはこの場を借りてお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。

 前置きが長くなりましたが、現在『週刊SPA!』(扶桑社)で連載中の『全員くたばれ! 大学生』(サレンダー橋本)が書籍化されました。文字通りくたばってほしい最低な生き物・大学生の日常を描いた作品です。主人公の亀田哲太は、包茎大学文学部哲学科に通う1年生。彼は入学式から5月まで「誰かに話しかけてもらうのをひたすら待ち続けた結果 どのグループにも混じれず、絶望的に孤立」してしまった大学生です。

 教室では、同じクラスのパリピたちがはしゃぐ姿に嫉妬の炎を燃やしながら、机に突っ伏すだけの、青春地獄を過ごしていました。そんな彼の前に突如現れた“大学生を憎むおっさん”は「お前の『大学生の一番嫌いなところ』は…どこだ?」と問います。

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「第二外国語で同じクラスのヤツが 前にこう言ってました。
『赤ちゃんは泣くのが仕事』『俺ら大学生は調子に乗るのが仕事』だと…
そう…彼ら大学生は一生のうち自由に遊べるのは今だけだと理解し、その重みも自覚した上できっちりと調子に乗りきっちりダラけ、遊び…タイミングが来たらしっかり社会に出る、そのしたたかさが憎い…!!
 そして何より、そんな奴らの仲間に入りたいと願う、この…自分自身が…憎い…!!」

 泣きながら叫ぶ哲太に対し、おっさんは「合格」を言い渡します。その後、彼らは手を組み、道行く大学生にいちゃもんをつける“大学生の青春に水を差す活動”に勤しむことに……。哲太の魂の咆哮が胸に響いた人も少なくないでしょう。ただし、哲太自身も地味な集団を見下したり、家族に「バンドをやってる」という見栄を張ったりと、相当こじらせている学生なので「そりゃ孤立するよ」と、ツッコむしかない場面も多々あります。

 たとえば、自分がどのグループにも属していない理由を「服のダサさ」だと結論づけるシーン。

 孤高を気取ってはいるものの、パリピたちのファッション談議に耳を傾けては、振り回される哲太。読者は「お前、そういうとこだぞ……」と、心の中でツッコミを送ることしかできません。はたして哲太は友人を作り、青春を謳歌できるのか、生あたたかく見守っていきたいです。社会人に疲れた元大学生、夏休みを謳歌している現役大学生必見の作品かもしれません。

文=フクロウたろう