最近よく聞く「5G」って? これからの生活やビジネスを激変させるテクノロジーの秘密

ビジネス

2019/9/2

『5Gビジネス』(亀井卓也/日本経済新聞出版社)

 スマートフォンの出現によって人々の生活は変わりました。多くの人の手のひらの上には、昔のハイスペックなコンピュータより高性能の「マシン」が載っているのです。その小さなマシンは、音声通話はもちろんのこと、テキストメッセージのやり取り、カメラやビデオの撮影、そしてwebサイトの閲覧まで、一台でなんでもこなしてくれます。このようなスマートフォンの便利さを支える技術が移動通信システムです。

 紹介する『5Gビジネス』(亀井卓也/日本経済新聞出版社)では、その移動通信システムの最新バージョンについて、概要と可能性が書かれています。書名からわかるように、ビジネスへの影響と、ライフスタイルの変化についてもわかりやすく書かれているのが特徴です。そのため、近未来の通信環境とそれが生み出す便利な生活に興味があれば、一読の価値があります。とくに、近未来生活のイメージをつかむには、まず冒頭の「プロローグ 202X年、ある日の風景」を読むとよいでしょう。5Gが生活を支えている2020年代のある日の日常風景を、20代、40代、70代のそれぞれの主人公の行動で表現しています。自分に近い年代の行動に感情移入して読んでみると、近未来生活の実感が湧くはずです。

 書名の「5G」とは、第5世代移動通信システム(Fifth Generation)のことで、それ以前に4つの世代がありました。本書によれば、1979年に実用化された自動車電話が第1世代(1G)で、それ以降はだいたい10年で世代が変わっていきます。1990年代には通信がアナログからデジタルになって第2世代(2G)に入ります。携帯電話ネットワークからインターネットに接続できるNTTドコモの「iモード」、DDI-セルラーの「EZweb」などは、この2Gの時期に実用化されました。携帯電話で撮った写真をメール添付で送るJ-PHONEの「写メール」サービスもこの時期です。2000年代に入ると、第3世代(3G)となり、さらに通信の高速化・大容量化が進みます。当時のNTTドコモの「FOMA」は、世界的に見ても3G商用サービスの最先端を走っていたのです。そして、2008年にソフトバンクからリリースされた「iPhone 3G」で、日本のスマートフォン時代が始まります。その後、2010年代には第4世代(4G)に切り替えられ、スマートフォンでストリーミング動画を楽しんだり、オンラインゲームができたりするほどに通信の高速化・大容量化が進み、現在に至ります。

 そして、2020年春から日本で「5G」での通信サービスが開始されるのです。本書では、ビジネスやライフスタイルに関して、さまざまなキーワードが提示されてその概略が説明されます。たとえば、ビジネス・マネジメントの意思決定がデジタル技術によって革新される「デジタルトランスフォーメーション」があります。また、ライフスタイルの革新としては、スマートシティの次の段階として、AIなどによってさらに人間中心の社会を目指す「ソサエティ5.0」にも触れられているのです。

 ひと通り読んでいくと、これらの現象を支えるものは「5G」の高速・大容量通信が可能にする、タイムラグのない「フィードバック」であることがわかります。この「瞬間的なインタラクティブ性」こそが、5Gを理解するポイントといえます。

 なお、本書に挙げられた技術や社会変化は、それぞれ一冊の本が書けるくらい専門性の高いもののため、基礎知識がないとわかりにくい部分もあります。しかし、これから私たちの社会を支える「変化のキーワードリスト」として、「5G」の全体像をイメージするには最適の一冊と言えるでしょう。

文=sakurakopon