100均の素麺もモチモチ食感に! 麺好き日本人に捧ぐ、麺類の“科学的”知識と調理法

暮らし

2019/9/8

『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ(ブルーバックス)』(山田昌治/講談社)

 私たち日本人は、なぜこんなにも麺が好きなのでしょうか。街中を歩いてみれば、蕎麦屋、うどん屋、ラーメン屋やパスタ屋…とさまざまなお店があり、自炊する際にも、献立に迷ったらついつい「今日はパスタでいっか」と、日常生活のなかでとにかく麺類に手を伸ばしてしまいがち。

 しかし、身近な食材であるからこそ、その何たるかについて深く考えたことがないという人も多いでしょう。そこでぜひ紹介したいのが、『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ(ブルーバックス)』(山田昌治/講談社)です。

■モチッとした食感の決め手は“小麦粉”に含まれるデンプン

 麺類は基本的に何かしらの粉を練って作られています。本書によれば、原料として一番多いのは「小麦粉」で、うどんや中華麺、パスタなどに使われています。

 麺類ならではの歯ごたえを表すときによく「モチッとした」という表現が用いられますが、その食感を生み出すのが、小麦粉に含まれている「デンプン」です。そもそもは植物のエネルギー源として種子や根に蓄えられているもので、異なった大きさの2種類の粒子から構成されています。

(本書26ページより)

 一方、麺を箸ですくったときにただよってくる独特のいい香りや、噛んだ瞬間の弾力を生み出すのが、小麦粉に含まれるタンパク質です。皮膚、筋肉、内臓や身体を構成するあらゆる器官において必須の栄養素としてもよく知られいます。

■大ブームとなった“タピオカ”も麺類に使われている?

 原料としての小麦粉については存在がよく知られている一方で、本書では意外にも、現在大ブームの「タピオカ」についても解説を展開します。実はタピオカは、デザートやドリンクの具材だけでなく、麺類にも多く使われているのです。

 タピオカは、主に熱帯を生息地とする植物・カッサバの根茎から得られるデンプンです。サツマイモのような形をしており、古くは根茎そのものをゆでて食べるというのが定番の調理法でしたが、近年は、動物に与える飼料やデンプンを生産するための原料として新しい利用法が注目されています。

(本書66ページより)

 タピオカが麺類に使われる場合には「増粘剤」としての役割で、麺の透明度を上げ、食べた瞬間のモチモチ感をアップしてくれます。また、粒子のサイズが大きいタピオカは、麺同士の粘着を防止するために付着させる「打ち粉」として使われることもあります。

■科学を応用して安価な素麺をおいしく! 「とっておきのゆで方」は

 さて、麺の話を続けていると、どうしてもお腹も空いてきてしまいます。科学的な奥深さに迫る本書では、“おいしく食べる方法”についても各種実践的な解説を展開していきます。その内容に沿って本書がすすめる「素麺のゆで方」を実際に試してみました。

 今回、筆者が味わってみたのは100円ショップで購入した素麺。本書によると「安価な素麺はゆで溶けしやすく、食感の点で少し問題がある」とありますが、そこで紹介されているのが「重曹を加えたゆで水」を使う方法です。

 実際に、普通のゆで水と重曹を加えたゆで水を使った2種類の素麺を食べ比べてみたところ、たしかな違いがありました! 前者は噛んだ途端にボソッと麺がちぎれてしまう感覚でしたが、科学的根拠のある後者のゆで方だと、麺にほどよい弾力が残っていて、麺は細いながらもモチッとした歯ごたえも。やはり効果があったといえそうです。

 日常的になじみ深いモノほど、普段よりも掘り下げてみると意外な発見があるものです。本書を読めば、普段なにげなく食べてきた麺類を、いっそう味わい深く堪能できるようになるかもしれません。本書の科学的な知見を応用して、毎日の料理の腕を磨いたり、家族や友人に豆知識を披露するのも楽しそうです。

文=青山悠