『ジャンプ』で連載中!『チェンソーマン』デンジの“主人公感”は、一体なんなのか?

マンガ・アニメ

2019/10/20

『チェンソーマン』(藤本タツキ/集英社)

 10月4日に最新刊4巻が発売された『チェンソーマン』(藤本タツキ/集英社)。

 2019年1月号より『週刊少年ジャンプ』で連載がスタートして以来、その衝撃的なストーリー展開で注目を集める異色作です。

あらすじ
 父親の借金を背負わされ、極貧生活を送る16歳のデンジ。“チェンソーの悪魔”のポチタとともに、デビルハンターをして食いつないでいたが、ある日、残虐な悪魔に狙われ、殺されてしまう。しかし、ポチタがデンジの心臓となることで、デンジは復活。チェンソーの悪魔へと変身する力を手に入れたデンジは、公安のデビルハンターであるマキマによって、その身を管理されることに。その日から、“公安デビルハンター”としてのデンジの生活が始まっていく…。

 とにかく貧乏だったデンジは、自分の腎臓や右目など、臓器を売って生計を立てていました。義務教育を受けていないので、読み書きもまともにできません。大人にいいように使われる人生は悲惨そのものでした。しかし、チェンソーの悪魔になったことで、デンジははじめて自分の人生をコントロールできるようになったのです。

 人と関わるようになったのも、悪魔になってから。それまで他人との接触がほとんどなかったデンジは、公安に導いてくれたマキマに対して、生まれてはじめての恋心を抱きます。

 魔人のパワーとは、殺し合ったこともありますが、今では良き相棒に。そして、仕事の先輩でもあるアキや姫野とも、衝突を繰り返しながら、絆を深めていきます。人間でなくなってから、人生を普通に楽しめるようになるとは皮肉なものです。

 とはいえ、デンジの夢や目標は、非常にシンプル。もともとが極貧だったので、デンジが求めるのは、あくまで普通の生活です。朝食が出て、お風呂に毎日入れる生活を守るためなら、どんな凶悪な悪魔にも立ち向かうし、女性の胸を揉むためなら、命だってかけます。

 つまり、デンジの行動原則は、「マズローの欲求5段階」でいうところの、5番目(生理的欲求)とか4番目(安全欲求)あたりで完結しちゃってるのです。

 おおよそ、週刊少年ジャンプのヒーローとは思えないデンジ。しかしだからこそ、『チェンソーマン』は面白い。

 そんなデンジの、独特な魅力をご紹介しましょう。

圧倒的サバイバル力

 貧乏な人生を受け止め、臓器を売って生きるデンジは、相当にタフな存在。それは、公安の犬になってからも変わりません。

 悪魔の力によってビルに閉じ込められてしまったときも、室内にベッドがあれば、余裕で寝ます。絶体絶命の状況でも、ふかふかのベッドがあればデンジは幸せになれるのです。豪胆です。また、貧乏時代は小麦粉を水に溶かしたものを食べていたそうです。

女性への強い憧れ

 友達すらいないデンジにとって、女性と触れ合うことは、夢のまた夢。少しでも優しくされるとすぐ「自分に気があるのでは」と思う可愛いところがあります。

 作中最強の敵とされる銃の悪魔を倒そうとしているのも、「銃の悪魔を倒せたらなんでもしてあげる」というマキマの一言があったから。単純な男です。

強靭なメンタリティ

 一般的に少年漫画の主人公といえば、自らの精神的弱さを打ち出すことで、読者の共感を呼びます。が、デンジにはその弱さがありません。なぜなら、デンジの場合、弱いとすぐ死ぬ人生だったため、最初からメンタルだけは異常に強いのです。

 仲間から見殺しにされそうになっても、その後の打ち上げであっさり和解します。たとえ知り合いが死んでも、悲しんだりしません。

 今後もこの強靭なメンタルが続くのかどうかは、気になるところです。

 どうでしょう、このデンジの魅力。ほかにも、男同士の喧嘩では股間しか狙わない、人の吐瀉物を飲み込んでしまうなど、強烈な個性を持っています。

 3巻のラスト、謎の一団に襲撃され、公安の仲間たちを多数失ったデンジたち。最新刊4巻では、報復のため特異課が動き出します。

「先生」による猛特訓を受けるデンジとパワーの一方で、新しい悪魔と契約することになったアキ。そして、明らかになるマキマの奇妙な能力…と、見どころいっぱいです。

 そういえば、単行本の表紙に、メインキャラであるマキマが出てきていないんですよね。敵なのか味方なのか、その謎も今後明らかになっていく…はず? 『チェンソーマン』の魅力にハマってみては。

文=中村未来/清談社