防犯探偵・榎本が短編に登場。バラエティに富んだ4つの密室に挑戦!

小説・エッセイ

2012/6/5

狐火の家

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:貴志祐介 価格:712円

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密室トリックと言えば本格ミステリの花。針だの糸だの氷だのを使って鍵をかけるような古式ゆかしいトリックから、人の心理の隙をついて作る密室まで、その前例は星の数ほどある。もうトリックは出尽くしたのでは…とも思えてくるが、本書を読めば「いやいやそんなことはない!」と意を強くすること間違いなし。とことん密室にこだわった「防犯探偵・榎本」シリーズ初の短編集が電子書籍でお目見えだ。

コンビを組むのは弁護士の青砥純子と、セキュリティショップの店長で防犯のプロ(その実態は××)・榎本径。密室を解くということに特化した短編ばかりなので、純然たるパズルゲームが堪能できる。突っ走る純子のスットコ推理と、それを軽くいなすクールな榎本という構図ももちろん健在。

収録作は四編。「狐火の家」は信州の民家で起きた殺人事件だ。父親が家に帰ってみると、そこには娘の遺体があった。唯一鍵のかかってなかった窓の外には足跡はなく、玄関は近くで農作業中のおばさんが常に視界に入れていた。犯人はどこから入り、どこから逃げたのか?

「黒い牙」は弁護士・青砥純子のところに「死んだ友人のペットを引き取りたい」という相談が持ち込まれたところから話が始まる。「牙と爪を持ち毛が生えているが、犬でも猫でもない」というペットの正体は?

「盤端の迷宮」の舞台はホテル。客室で囲碁棋士の刺殺体が見つかる。窓にもドアにも鍵がかかっており、ドアを開けられたとしても内側からチェーンがかけられているので、隙間はわずか10センチしかない。まさしく出入り不能の、これぞ密室!

そして最後の「犬のみぞ知る Dog knows」は「人が来たら吠える犬」が密室を構成するという変わり種。シリーズ第一長編『硝子のハンマー』に出てきた人物が再登場だ。他の短編とは一風変わったコミカルなタッチが味わえる作品。

本書は人気ドラマ『鍵のかかった部屋』の原作だ。ドラマを観ている人なら、本書収録の短編は既にご存知だろうが、キャラクタや設定が変わっているものも多いので、ぜひ原作も読んでみていただきたい。ドラマを知らずに読めばピュアに楽しめ、知って読むとトリックの映像が鮮明に思い浮かぶという楽しさが味わえる、どちらに転んでも美味しい1冊だ。


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