「あり得ん設定」が苦手なあなたも、5ページ読めばすでに虜

更新日:2012/6/20

緋弾のアリア I

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:こよかよしの 価格:450円

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「あり得ん!」
「んなバカな!!」
「近頃の若いモンは…」

ま、最後のは自分だけかもしれないけれど。
上のふたつは、軽い学園ラブコメみたいなのを期待して読み始めた人なら、巻頭の「武偵」に関する説明で感じるかもしれない。でもちょっと設定に癖があるからといって、食わず嫌いで切り捨ててしまうのはもったいない魅力が本作にはあった。

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冒頭からいきなり、主人公である遠山君は世にも珍しい「自転車ジャック」に遭います。そしてヒロインのアリアが登場するのだが、この間のスピード感とオチは、細かいガジェットの七難隠すいいできだ。しかもきっちり3巻で回収される伏線まで張ってあったのにはびっくり。もっとね、行き当たりばったりな話だと思ったのさ。何となく麻宮騎亜の「コンパイラ」にも似たような無茶ぶりを感じたから。

そんなこんなで、自転車ジャック事件が終わる頃にはすっかり取り込まれている自分に気づくわけだが。「息つく間なんて与えないぜ」といわんばかりに、「武偵」対「武偵殺し」の図式が提示される。そしてようやく、この作品世界で起きている事件や登場人物らの立ち位置がみえてくる。

とはいっても、この「武偵殺し」事件を通して、主要人物のプロフィール全体が示される(そしてもっと大きな謎が提示される)のは3巻の終わり近くですよ。ね、スケール大きいでしょ?

そこまで話しを広げられるのも、一癖も二癖もあるキャラクターに親しみを感じるのも、すべてはこの現実世界を強引にスライドさせた世界設定にあるような気がするよ。はじめはこの作品の「難」だと思っていた設定が、実は登場人物の存在理由にきっちりつながるんだから。妄想を物語りに昇華できるかどうかは、腕だね。腕。


冒頭の「武偵」に関する説明。ここで引いてしまうのはもったいない

チャリンコジャックのドタバタが始まる

女の子とべたべたするわけにはいかない、という主人公の枷

この辺は正統派ラブコメですな。女の子のカンは恐ろしいのぉ