道尾秀介のノスタルジックな新作は単行本・電子書籍同時リリース!

小説・エッセイ

2012/7/4

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 光文社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:道尾秀介 価格:1,080円

※最新の価格はストアでご確認ください。

道尾秀介待望の新作は、驚きの単行本・電子書籍版の同時リリース。道尾秀介と言えば、もちろん誰しもが認めるベストセラー作家のひとり。単行本のみの発売でも、充分に数字が見込める作品なだけに、この英断にはちょっと驚き。国内の電子書籍市場、思った以上に成熟している模様。個人的にこの傾向は大歓迎。紙の本に思い入れが無いワケでもないのだけど、もうこれ以上の書籍は保管しとく場所がないので。他の作家も続いてくれると嬉しい。価格も電子書籍の方が2~3割安価だし。

そして、この『光』。またしても「少年少女の物語」。直木賞を受賞した『月と蟹』以降は何故かこの路線に偏っている感がなきにしもあらずなのだけど、この作品は若干テイストが異なる。『月と蟹』や『水の棺』にあった重苦しさは影を潜め、代わりに感じるのは全編に漂うフワッとした暖かさと、甘酸っぱい懐かしさ。読了してしまうのが寂しい、後からジワっと来るタイプの作品である。

すごく簡単に言ってしまうと、この作品は「都会からやや離れた場所に暮らす小学校四年生とその友人・周囲の人たち」を描いた物語。どこにでもありそうな設定で、事実似たような作品はきっといくらでもあるはず。だがこの『光』が、そういった凡百の作品と徹底的に違うのは、この作品の醸し出す「吸引力」と「臨場感」が尋常でないところ。正直、すっかり忘れていたはずの”あの頃”の感覚が、かなり鮮明に戻ってくる。いや、もしかすると戻った気になっているだけなのかもしれないが、こちらにそう思わせてしまうところがとにかくすごい。

そう、キーワードは”あの頃”。
誰もが感じる”あの頃”が、この作品の中には間違いなく存在する。今にして思えば、全くなんてことのない事象が全て大冒険だった”あの頃”。世界が希望の光に満ち溢れていた”あの頃”。そんな”あの頃”が、美しく丁寧に、更に不思議な魅力たっぷりに描かれているため、こちらの心もあっという間にタイムスリップし、作品世界に同化してしまう。このノスタルジックな気分、ちょっと快感に近い。

雰囲気はPSPやPS3のゲーム『ぼくのなつやすみ』、ないしは映画の『スタンド・バイ・ミー』。
あの手の世界感が好きな人は、絶対にハマります!


今回初となる紀伊國屋書店の電子書籍リーダー「Kinoppy」、ブックカバーのデザインなど細部にこだわりが深い

直感的で解りやすい設定画面、ページカラーは今のところ4種類から選択可能

iPad縦表示、文字は高精細で美しく、ルビなども自然

しおり機能はなんとアニメーション付き、ページごとサムネール表示されます

横書き表示も違和感なし、専用にデザインされたかのよう

意外に目の疲れない反転表示、かなり読みやすい