「美女満載のラブコメバトル」男子高校生の妄想劇とあなどるなかれ!

公開日:2012/7/13

けんぷファー 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:橘由宇 価格:450円

※最新の価格はストアでご確認ください。

この「けんぷファー」という物語、「朝起きたら女の子になっていた」「使い魔っぽい役どころのぬいぐるみがいて、敵と戦う」そんな、先人が「これでもか!これでもか!」と使い尽くした設定に突撃して、見事にひとつの作品として幕引きまできっちり書き切った作品なんだよね。

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今、さらっと流しちゃったけど、それってすごいことだよ? 書くことも大変だろうけど、まず企画を通すのが。おまけに、文章は基本1人称。時々3人称が混ざるハイブリッド。「小説入門」みたいな本だったら、「絶対にやっちゃいけないパターン」と認定されるんだろうな。使われている比喩も、実在のアニメやコミック、はたまた声優さんの名前など、そのまま使っているし…。

その辺の事情で、評価指標を決めさせてもらいました。常識で考えたら文章は3といったところ。でもね、主人公瀬能ナツルの濃度高めのひとり語りや、ばっさりと省略を可能にしている、実名を使った説明などなど、思い切りのいい文体はなじみやすいんだよ。「読みやすい」「速く読める」これって、ライトノベルの必要条件じゃないかな。だから、矛盾しているようだけど「親近感(入り込みやすさ)」には最高値をつけさせていただきましたよ。

今回レビューするに当たって本編12冊を改めて読み返したのだけど、「うまく創ってるよなぁ」と、参りました感がわいたよ。「主人公には(最後には)きっちり決断させたい」「戦いって、なんだ?」そんな作者のメッセージと、「お色気入れないと売れないよ」「やっぱりハーレムものじゃないと」といった営業の気持ちを上手に料理してるよね。

ライトノベルのぎりぎりを攻めるようなお色気シーンもあるよ。たくさん。でもね、本当に軽いだけの小説だったら、12巻目を読み終えたあとに寂しさは感じないと思うんだ。


当初、巻頭の絵は折りたたみ式だったけど、ちゃんと再現されています

そうですか、「しずかちゃん」ですか。これ以上簡潔な説明ってないよね

使えるたとえなら、なんでも使う潔さ