がんばれ赤血球! 今度はBLACKな職場(体内)が覚醒した!?――TVアニメ『はたらく細胞BLACK』を考察する④

アニメ

公開日:2021/3/12

はたらく細胞BLACK
TVアニメ『はたらく細胞BLACK』 TOKYO MXほかにて毎週土曜24時より放送中
(C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社・CODE BLACK PROJECT

はたらく細胞BLACK

はたらく細胞BLACK

はたらく細胞BLACK

まだまだ続く、新米赤血球の苦難の道

 次々と起きる職場のトラブル。職場がどんどん荒れ、薬物が蔓延し、同僚が倒れていく。労働環境はどんどん悪くなり、去っていく同僚もさらに増えていく。止まらない悪循環。本当にこの世はBLACKだ!

 というわけで、体内で働いている細胞たちの擬人化ドラマを描くアニメ『はたらく細胞BLACK』の第11話を観た。

 第10話で仲間を失ってしまった赤血球(AA2153)は、第11話で荒れていた。赤脾髄のもとへ行った彼は、自分を処理してもらうことを願う。だが、それを拒否された彼は自暴自棄になり、突然襲来した無機質な巨大物体に立ち向かっていく。その物体の正体は、尿酸が結晶化したもの――「痛風」の原因だった。

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 「痛風」は、尿酸が体の中に溜まったことが原因となり、関節炎を発症してしまう病気。暴飲暴食をした翌朝に、足の親指のつけ根やアキレス腱のつけ根、膝関節、手関節などが赤く腫れ、突然激痛を発し始める。「風が吹いても痛い」ということから「痛風」と呼ばれているという。暴飲暴食だけでなく、肥満、ときには急な激しい運動などが原因で起こることもあるらしい。

はたらく細胞BLACK

はたらく細胞BLACK

はたらく細胞BLACK

BLACKな体内の労働環境を改善せよ!

 『はたらく細胞BLACK』では、第1話から新人赤血球の目線で、不健康な身体(せかい)の中で奮闘する細胞たちの姿を描いてきた。身体が見舞われるのは、どれも身近な症状や病気であり、他人事ではないリアリティが存在している。この作品を観たあとに、自分の身体を見直したときに、まるで自分の身体の中で起きている出来事のように感じた。

 自分の身体はBLACKだ。

 赤血球(AA2153)を苦しめているのは、自分なのかもしれない。そう思うと、なんとかBLACKな身体(せかい)を立て直さなくちゃいけない、という気持ちになってくる。

 そして、赤血球たちは身体の中で「はたらいている」。彼らを救うためには、労働環境の改善が必要ではないか――ということで、BLACK企業について解説している、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(著・今野晴貴/文春新書)という本を読んでみた。そこには、企業のBLACK体質を改善する方法が書いてあった。

 その方法とは――

①社員からの個人的な働きかけ、
②行政を使った働きかけ
③労働組合による働きかけ
④裁判
と、大きく分けると4通りの方法があるという。

 ①は専門家の意見を受けたうえで、交渉の記録を残しながら、丁寧にBLACK会社と渡り合う、ということ。②は行政に訴えかけ、行政指導や助言によってBLACK会社を改善するという方法。③は社内の組織や、企業外のユニオンなどの力を仰ぎ、BLACK会社と交渉するということ。④は理解ある弁護士とともに時間と費用をかけて裁判にかけていく、という方法である。

 これを『はたらく細胞BLACK』的に解釈すると、①「身体に負担をかけない生活を行い、細胞に活力を与える」。②「人間ドッグなどに入り、不健康な部分を自覚して、そこを治そうとする」。③「同じ病気に悩む人たちの意見や情報を知り、治療方法などを調べていく」。④「医者に診てもらい、積極的に治療していく」という感じだろうか。なるほど、どれも今後実践していけそうな内容である。

 アニメ『はたらく細胞BLACK』を見て、健康的な身体の重要さが良くわかった。まだまだ、もうちょっと、この身体(せかい)に動いてもらわないといけない。そのためにも、まずは脱BLACKを目指していこう。

文=志田英邦