花譜×『空色DAYS』にも注目! 本好きが集うバーチャルタウン「キミノマチ」で楽しめる“ためし読見!” が続々登場!

小説・エッセイ

公開日:2021/5/2

「ポプラキミノベル」公式サイトより

 その町の住人はみんな本が大好きで、いつも読んだ感想を語りあっている。夢中になった本を互いにすすめあって、人との出会いが新しい世界に飛びこむきっかけに繋がっていく――。そんな町がこの世界のどこかにあったらどんなに楽しいだろう。という本好きの願いを体現したのがポプラ社のジュニア文庫新レーベル「キミノベル」。本好きが集うバーチャルタウン〈キミノマチ〉だ。

 公式ホームページを開いてまず目に映るのは、アニメーション映画の一コマみたいな町のイラスト。「カフェ あーだこーだ」を見つけてクリックすれば、本の感想をおしゃべりできる掲示板に飛び、「イラステーション」では思い思いのイラストが掲載されているのが見られる。そんな夢のような町に、このたび新たな機能が加わった。「ペンギンシネマ」をクリックすると、音で、絵で、文字で本のあらすじを知ることのできる“ためし読見!”動画を観ることができるのだ。

 たとえば『空色DAYS』(望月麻衣)の動画は透き通った青空を背景に映し出される「高校時代を色で表したら何色なんだろう?」という一文から始まる。背景に流れるのは、キミノベルの公式アンバサダーでバーチャルシンガー・花譜さんの楽曲「エリカ」インストルメンタルバージョン。いわゆる“あらすじ”は語られないが、抜粋される文章を読んでいれば、ひとりぼっちだった少女がバンドを通じて友達との絆を深めていく物語だということがわかる。

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 文章に応じて変わっていくイラストも、いい。虹のかかる学校の屋上で、ギターを背負った男の子が少女に誘いをかける場面から、やがて四人での練習風景に変わり、文化祭当日を迎えるまでが映し出されていくのだが、イラストはすべて「ためし読見!」用に描き下ろされたというから豪華きわまりない。音と文字と呼応してまだ読んでもいないのにきゅんとさせられ、もっとこの世界に触れたい、どんな物語なのかを知りたいと思わされてしまう……まさに、本の予告編上映である。

 一方、『コトダマ!』(田丸雅智)の「ためし読見!」はアップテンポの曲とキャラクター紹介から始まるという、アニメのような導入だ。主人公のソラは、言魂(ことだま)を操る“言魂使い”。町を異様な光景に変えてしまった敵と戦うために、言葉を組みあわせてアイテムを生み出す力を発動させるのだが――。左手には〈めまいのする〉〈熱い〉〈乾いた〉という3つの言魂。右手には〈傘〉〈石〉〈耳〉の3つの言魂。はたしてどれを組み合わせるべきなのか? 小説では正解ルートに沿って物語が進んでいくのだが、「ためし読見!」の最後に、3つの分岐ルート(動画)が現れる。作者・田丸雅智さん書き下ろしの文章で、失敗バージョンも特別に味わえるのだ。アニメ映画の短編を観ているようで、ゲームをしている感覚も味わえるという、最高のエンターテインメントである(本を読めばその楽しさがさらに味わえるというのも嬉しい!)。

 なるほど、こんなふうに読書へ誘う道があるのか、と子どもだけでなく大人もわくわくさせられるキミノベル。「ためし読見!」機能でぜひ気になる一冊を見つけてほしい。なお、この「ためし読見!」は、毎月1本ずつ新しい動画が公開されていく予定なので、要チェックだ。

文=立花もも