【最新巻レポ】『ONE PIECE 99』カイドウとの激闘、“海賊王”を高らかに叫ぶルフィ……“最悪の世代”5人が最強の四皇とついに激突!

マンガ

更新日:2021/6/4

※本記事にはネタバレが含まれます。ご了承の上お読みください。

『ONE-PIECE 99』(尾田栄一郎/集英社)

 光月おでんの無念を晴らすため、四皇カイドウと将軍オロチに討ち入りを果たしたワノ国の侍たち。しかし百獣海賊団の強さは驚異的で、大看板や飛び六胞をはじめとする強敵相手に苦戦を強いられる。

 錦えもんを筆頭にした赤鞘九人男は、憎きカイドウに直接対決を挑んだが、圧倒的な実力差になすすべなく敗戦。血と涙を流して倒れてしまった。

 やはりカイドウを討つのは、ルフィのようだ。ただし今回は同世代との共闘となりそうである。“最悪の世代”ルフィ、ロー、キッド、ゾロ、キラー。そして新世界を支配する四皇カイドウ、ビッグ・マム。鬼ヶ島の頂上で、世界が震え上がるような決戦が始まった。

 とうとう1000話に到達した『ONE-PIECE 99』(尾田栄一郎/集英社)。本作の見どころはいくつかある。ナミが涙を流してボロボロになりながら、飛び六胞相手に信念を貫いたシーン。本気になったゾロがアプーを切り捨てるシーン。カイドウは「ウオウオの実」の幻獣種の能力者であり、それを与えたのがビッグ・マムだと判明するシーン。

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 ほかにも見どころがある。その中でも際立つのは、1000話目で描かれるルフィたちと四皇2人が対峙する場面ではないか。

 おでんが残した海賊日誌。それを読んだカイドウの息子・ヤマトは、モモの助に対して、日誌に記された内容を明かす。

20年以上先の未来に
次の時代を担う強力な海賊達が
「新世界」へ押し寄せて来る……!!

おれがもし死んだなら………!!!
カイドウを討てるのはそいつらだ!!!

 おでんは何らかの理由で、20年以上先に、強力な海賊たちが新世界に現れることを予見していた。日誌を読んだヤマトは、その強力な海賊こそ、ルフィたちだと断言する。

 それを象徴するかのように、鬼ヶ島の頂上には、新世界の猛者が集結していた。右に、ルフィ、ロー、キッド、ゾロ、キラー。“最悪の世代”の中で最も凶悪な3船長と、2人の実力者。そして左には、四皇カイドウとビッグ・マム。言うまでもなく、この2人に敵う者はほぼいない。

 そのうち最強生物と言われるカイドウを、ルフィは「業火拳銃(レッドロック)」で殴り倒した。そして高らかに宣言する。

おれはモンキー・D・ルフィ
お前らを超えて……
“海賊王”になる男だ!!!

 ここから最悪の世代と四皇の戦いが始まる。その描写は、もはや地獄。カイドウに至っては、生きた災害に見えてしまう。その恐ろしき姿は、ぜひ単行本で目にしてほしい。

 最近、ワンピースの単行本を購入すると、子どもの頃を思い出す。私は、小学生のときから買い始めた。その頃の最新刊が10巻(アーロン編)。サンジがクロオビに海底へ連れていかれ、水圧差で内臓を痛めて口から血を吐くシーンに、刺激が強すぎてドキドキしていたのを覚えている。

 それから最新刊が出るたび欠かさず購入して、ワンピースを読みながら大人になった。一方でルフィも「東の海」を飛び出して、大冒険を繰り広げた。ときに耐えがたい悲しみに自暴自棄になることもあったが、仲間とともに乗り越えて、新世界に到達。今や新世界を代表する大海賊になった。生きる世界は違うけど、一緒に人生という冒険をした意味では、読者とルフィは仲間だと思う。

 だから最強生物であるカイドウと対峙するルフィの姿が感慨深い。ガイモンさんと一緒に東の海の無人島で「どれがグランドラインだ?」とのんきに笑っていたあのルフィが、真正面から四皇に挑むのだ。

 レッドロックで殴り倒されたとき、カイドウは心の中で驚愕した。

わずかだぞ……!!
おれと戦えるやつなど!!!
お前が……!!!
どれ程のモンだってんだよ……!!!

 カイドウと正面をきって戦えるのは、ロジャー、白ひげ、おでん、シャンクス、謎の海賊ロックス。ほんのわずかしかいない。ルフィがそこに肩を並べようとしている。

 そしてルフィは四皇の目の前で、海賊王になると宣言した。そのセリフは、第1巻の第1話となんら変わりない。しかし、あれから信じられない成長を遂げて、今やかなり現実味を帯びている。夢を語るルフィが、夢を叶えるルフィになりつつある。これを感慨深いといわず、どう表現しようか。

 戦闘が激化するワノ国編。ルフィは早くもカイドウに、必殺技のひとつ「猿王銃乱打(コングガトリング)」を放った。しかし相手は自殺を趣味にするような男。これで勝負が決まることはなかった。

 地獄のような死闘は始まったばかり。続く100巻で、勝利の道筋が見えるといいが…。

文=いのうえゆきひろ