コミカライズ版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』で描かれるアムロとシャアの最終決戦、そしてハサウェイの運命

マンガ

更新日:2021/11/25

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)

著:
その他:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(さびしうろあき×柳瀬敬之:漫画、出渕裕:モビルスーツデザイン、矢立肇・富野由悠季:原作/KADOKAWA)

 大ヒット映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の、原作小説につながる物語が「ベルトーチカ・チルドレン」だ。正式タイトルは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』。富野由悠季氏が1988年に発表した小説で、本稿で紹介するのはそのコミック版である。映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年公開。以下、映画「逆襲のシャア」)とストーリーの大筋は同じである。

 映画「ハサウェイ」を観てから、映画「逆襲のシャア」を観た方も多いだろう。この「逆襲のシャア」から「ハサウェイ」につながるストーリーをより深く楽しむためにもこの作品には読んでおきたいポイントがあるので、本稿で確認してほしい。なお、作品の内容を含むため、映画「逆襲のシャア」をまだ観ていない方はご了承の上でお読みいただきたい。

アムロとシャア、因縁の戦いに決着

 まずはあらすじを紹介する。宇宙世紀0093、行方不明になっていたシャア・アズナブルが突如として姿を現した。ネオ・ジオン軍の総帥となり、地球連邦政府に戦いを挑んでくる。彼の目的は、人間に汚染された地球を保全するため人為的な氷河期を起こすこと。その手段として「隕石落とし」を画策していた。

advertisement

 一方アムロ・レイも、ブライト・ノア率いる地球連邦軍のロンド・ベル隊に所属し宇宙(そら)にいた。ネオ・ジオンが小惑星「フィフス・ルナ」を地球へ落としにかかっているという報告を受けてアムロはMS「リ・ガズィ」で出撃。そして彼の恋人であるベルトーチカ・イルマは、まもなく完成する新型ガンダムを受け取るため、月のアナハイム・エレクトロニクスの工場へ向かった。

 敵として出会い、その後は共闘したアムロとシャアが、再び敵同士として相まみえる。

 ロンド・ベル隊は奮戦するも、アムロはシャアが搭乗するMS「ナイチンゲール」に圧倒され「フィフス・ルナ」は地球に落ちる。落下していく巨大な岩塊と入れ違うように、この戦場で悲しい運命を辿ることになるクェス・パラヤという少女と、ブライトの息子であるハサウェイ・ノアが宇宙へ上がっていた。

「フィフス・ルナ」の隕石落としは地球寒冷化作戦の前哨戦であり、シャアは小惑星「アクシズ」を地球へ落とすという次なる作戦を開始。

 新型ガンダムを手に入れたアムロとの最後の戦いが始まる――。

映画「逆襲のシャア」の違いは?「ベルトーチカ・チルドレン」の注目ポイント

 大まかなストーリーは映画版「逆襲のシャア」と変わらないのはお分かりになったと思うので、ここではポイントとなる違いを紹介する。

 やはり最大の相違点は、映画版には登場しない、本作のタイトルにあるベルトーチカの存在だ。『機動戦士Zガンダム』でアムロと親しくなった彼女は、本作で引き続き彼の恋人として登場し、なんと子どもを身ごもっている。アムロに子ども!? と思う方は意外と多いかもしれない。

 そしてハサウェイ。当時13歳の民間人であったが、隕石落としの混乱からロンド・ベル隊と行動することに。宇宙へ上がるときに知り合ったクェスに惹かれるが、彼女はシャアのもとへ行き戦争に参加してしまう。クェスに戦いをやめさせようとMSに乗り込み戦場に出るハサウェイ。再会を果たした彼に待つ運命が、映画「逆襲のシャア」と大きく異なるので注目してほしい。

 そんな主要キャラクターのほか、近年ガンプラ(ガンダムのプラモデル)などの発売で人気と知名度を一気に上げたオリジナルMSの登場や、各シーンの細かい描写の違いがある。

 ちなみに筆者は、リアルタイムで映画版「逆襲の」シャアも小説も楽しんでいたガンダムファンなのだが、今、この「ベルトーチカ・チルドレン」を(コミックで)振り返ってみたら、映画「逆襲のシャア」の細かい部分が補足されていて、ストーリーがとても分かりやすいことに気がついた。記憶力の問題もあるが、年を取ってもガンダムは楽しめる作品ということをあらためて認識した次第である。

 冒頭で本作は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の原作小説に連なると書いた。しかし映画「閃光のハサウェイ」は、映画「逆襲のシャア」の続きなのか、本作「ベルトーチカ・チルドレン」の続きなのかの明言はされていない。全く新しい未来が描かれるのか、それとも――。

 いずれにせよ、映画「閃光のハサウェイ」の続編への期待は大きい。公開を待つ間に、映画「逆襲のシャア」と本作「ベルトーチカ・チルドレン」、2つの「逆襲のシャア」に触れて、アムロとシャア、そしてハサウェイの物語をじっくり深掘りすることを強くおすすめしたい。「閃光のハサウェイ」が何倍も面白くなるはずだから。

文=古林恭

あわせて読みたい

この記事で紹介した書籍ほか

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)

著:
その他:
出版社:
KADOKAWA
発売日: