ニュージーランドの国鳥・キーウィが送るコミカルな日常。クセになるほっこりマンガ『ゆるいキーウィ』

マンガ

更新日:2021/12/10

ゆるいキーウィ
『ゆるいキーウィ』(きう山/KADOKAWA)

 日本の国鳥はキジだが、ニュージーランドには一度目にしたら虜になること間違いなしの国鳥がいる。それが、キーウィだ。キーウィは日本人である私たちからするとあまり馴染みがないが、キウイフルーツの名前の由来になった鳥であり、現地で大切にされている。

『ゆるいキーウィ』(きう山/KADOKAWA)は、そんなキーウィをモチーフにした一風変わった動物マンガだ。

 動物漫画といえば、動物の生態が描かれている作品も多いもの。しかし、本作はそうではない。主人公は、キーウィをもとに作者のきう山氏が生み出した、オリジナルキャラクターの「ゆるいキーウィ」。

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 本作は、「ゆるいキーウィがもしも人間生活に溶け込んだら?」をテーマにした、ユーモア溢れる一冊なのだ。

ゆる~いキーウィのドジで微笑ましい日常にほっこり

 ある日、ゆるいキーウィはキウイフルーツに紛れ込み、日本へ上陸。たくさんの初めてを経験し、試行錯誤しながらコミカルな日常を送ることとなった。

ゆるいキーウィ

 ゆるいキーウィは、ちょっぴりドジだ。例えば、オムライスにケチャップをかけようとするも、勢い余って失敗。

ゆるいキーウィ

 オーブントースターで食パンを焼いた時には、見るも無残な黒焦げトーストを完成させてしまう。

ゆるいキーウィ

 また、大好きな牛乳を飲むとお腹を壊してしまうという残念な一面があり、無断でピザパーティーをして親友の白キーウィに怒られてしまったほど無邪気な性格でもある。だから読み進めていくほど、このキャラクターからどんどん目が離せなくなっていく。

ゆるいキーウィ

ゆるいキーウィ

 作中には、けんけんぱを楽しむ、寝違えて湿布を張る、レンジでカップケーキを作るなど人間味あふれる、ゆるいキーウィの姿がたくさん描かれており、ほっこり度満点。

ゆるいキーウィ

 この生き物は、なんだか放っておけない……。そう感じさせる魅力がゆるいキーウィにはあるから、読者はこの謎めいた独特な生物に愛着が湧き、作者が作り上げた世界観に引き込まれてしまうのだ。

 なお、本作にはアルマジロやオオハシなど、身近ではあまり見かけない生き物とゆるいキーウィとの交流も描かれていて面白い。

ゆるいキーウィ

 ゆるいキーウィは、どんな生物に対しても優しく接する温かい心の持ち主。その姿から、私たちが学ぶことは多くあるため、本作は大人だけでなく、子どもにもおすすめの作品だ。

 もしこんな鳥が実在するなら一緒に暮らしてみたい。むしろ、本当にどこかに存在していてほしい……。そんな感想を抱かせる、ゆるいキーウィは老若男女を笑顔にする個性豊かなキャラクター。

 その愛くるしさに、ほっこりしてほしい。

文=古川諭香

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