酸素が足りないと怒りやすくなる? イラっときたら「3秒深呼吸」しよう!/ついイラッときても感情的に反応しない方法を1冊にまとめてみた

暮らし

公開日:2022/11/27

心配が怒りに変わる

「毎日、子どもの帰りが遅い。どこで、何をしているのやら……」

 そんな心配をしているお父さん、お母さんも多いでしょうね。

「何時ごろに帰るの?」

 はじめのうちは、そんなメールをすると、「もうすぐ帰るから心配しないで」と返事が来たりします。でも、毎日毎日、「何時に帰るの?」なんてメールが届くのは、子どもとしても「ウザイ」ですから、あるときから返事が来なくなります。

 そうなると、待つ親にしてみればイライラしてくる。怒りが収まらなくなります。

「あいつは何時に帰ってくるんだ!」

「知りませんよ、そんなの。自分で、メールしてみたらどうですか」

 夫婦の間にも怒りの嵐が巻き起こりはじめます。

「なんで、俺がしなきゃいけないんだ。お前がしろ」

「メールしても、返信なんかありませんから。私にばかり押し付けないでください」

 そんな調子で、今度は夫婦げんかがはじまることもあります。

 イライラ、カッカ。帰ってこない子どもには腹が立つし、夫は妻に対して、妻は夫に対して、怒りが膨張していきます。夫婦で怒りをぶつけ合ったところで、子どもが早く帰ってくるわけではありません。むしろ、夫婦の怒りのほうが大きな問題ですね。

怒りの制御装置「皮質」は、酸素が大好き

 家族の怒りが充満しているような家は、娘さんにとっても居心地がいいはずがありません。家族と顔を合わせたくありません。遅くまで外にいて、帰ったら、お風呂に入って、部屋に戻って、さっさと寝てしまいたい気分にさせられます。

 子どもとしては、親の不愉快な顔は見たくないし、説教なんか聞きたくない。もちろん、原因が自分であると感じていても、自分の好きなようにやりたいのです。親の理屈は通用しません。誰もが経験で知っていることではないでしょうか。

 怒りを感じるのは、大脳辺縁系と呼ばれる原始的な脳です。序章でも述べていますが、この脳の作用だけなら、怒りが発生すると、すぐに暴力といったように、感情が行動に出てしまいます。

 しかし、人間には大脳皮質という理性的な脳があります。その脳が「人を殴っちゃいけない、ここは我慢のしどころだ」と、ブレーキをかけるのです。皮質が正常に働いていれば、怒りを感じても、それが行動に移ることは防げます。

 では、どうやってこの皮質の働きを促せばいいのでしょうか。

 その決め手は「酸素」です。この皮質、怒りなどで感情が高まっているときや不安が強いときなどには、酸素が不足していて窒息状態になっていることが、実験でわかっています。すぐに怒鳴りつける人とか、感情を露わにして怒る人は、皮質の酸素不足の場合が多いと考えられます。

「頭に血が上って、真っ白になってしまう」「怒りでものも言えなくなってしまう」「心臓がどんどんと高ぶる」といったことがあるときには、脳が酸素不足でSOSを発していると考えてください。そんなときには、とにかく、脳に酸素を送ります。それには、呼吸しかありません。3秒間、深呼吸をしてみてください。同時に、脳が新鮮な酸素で満たされていくのをイメージするといいかもしれません。

口パクパクの金魚になっていませんか

 家でじっと待っているのもイライラします。イライラしている者同士が顔を合わせていても、事態は改善しません。まず、シチュエーションを変えることです。

 近くのコンビニへ行くのは、どうでしょうか。それも、あんまりせかせか急がない。スローテンポです。そして、外の空気を、酸素が体中に行き渡るように、深呼吸します。怒りを体の中の古い空気とともに、全部吐き出す感覚です。

 肺に入った酸素は、血液と一緒に脳まで運ばれます。水面で口をパクパクしている金魚のようになってしまった大脳皮質も、新鮮な酸素が届けば活性化します。また元気になって、怒りを制御するという大事な役割をつとめてくれます。

 イライラせずに、脳に酸素をしっかりと補給して、帰ってきたら、笑顔で「おかえりなさい」と迎えてあげてください。子どももわかってくれます。怒りの種をひとつ減らすことができるはずです。怒りそうになったら「はい、酸素!」を忘れずに。

<第3回に続く>

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