焼き魚は強火と弱火、どっちが美味しい? 【科学の豆知識で料理はもっと美味しくなる!】連載第5回

食・料理

2019/2/20

『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)

 料理が得意で毎日難なくこなしているという人もいれば、面倒に思いながらいやいや台所に立っている人、あるいは、もはや苦痛の元である料理は一切したくないという人もいるだろう。

 ちょっと気分を変えて、どんなレベルの人にも役に立つ、そして確実に料理の腕が上がるような「豆知識・雑学」を紹介したい。『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)は、「美味しいと感じる味覚のメカニズム」から、「アク取りや下味の上手な方法」まで、知っておけばすぐ活かせるような料理に関する知識が満載の1冊だ。いつもの料理をもっと美味しく、そしてラクして効率的なものにする知識を、本書から得ていこう。

■焼き魚を美味しく仕上げるメカニズム(本書104ページ)

 魚は「強火の遠火」で焼くと美味しいとされる。では、「強火の遠火」と「弱火の近火」は、感じる熱さとしては似ていそうだが、どう違うのだろう?

 強火の熱源は大量の赤外線を放出する。それを受ける食材の魚は輻射熱によって表面(皮)がパリパリに焼かれ、そこからの伝導熱によって内部がじっくりと熱せられる。表面は固まっているので内部の水分は逃げず、ゆっくり加熱されるのでふっくらと仕上がる。また、ゆっくり加熱されることで酵素によってタンパク質が分解されるため、うま味の素となるアミノ酸も発生する。

 魚は網で焼く場合と串で焼く場合でも味が変わるそうだ。網で焼くと熱伝導は魚の表面のみになるが、串焼きの場合には、串に接する内部にも熱伝導が加わる。その分、焼き上がりが早くなり、皮を焼きすぎてしまうことを減らせるそうだ。

 今までなんとなく火にかけていた焼き魚も、こうやって熱伝導のメカニズムを知ることで、今までよりちょっと美味しく焼き上げることができそうな気分になる。

 このように本書では、料理をしたり食事をしたりする日常がもっと楽しくなるような知恵が、多数詰め込まれている。「理系科目は苦手…」という人も、身近な題材であればすんなり頭に入ってくるだろう。ぜひ本書を手に取って、今日の食卓を「アタマ」でも味わってみてほしい。

文=田坂文