宮沢賢治『銀河鉄道の夜』あらすじ紹介。一番の幸せは、他人の幸せを願うこと

文芸・カルチャー

更新日:2023/6/16

『銀河鉄道の夜 (角川文庫)』(宮沢賢治/角川書店)

 主人公のジョバンニは貧しい学生で、活版印刷所でアルバイトをしながら病気の母を看病している。父親は漁に行ったきり帰って来ない。孤独な彼は同級生からよく馬鹿にされるが、親友のカムパネルラだけは違った。

「星祭」の夜、ジョバンニが母のために牛乳をもとめて歩いていると、銀河の祭りに向かう同級生たちに遭遇する。いじめっ子のザネリが彼のことをからかい、そこにいたカムパネルラは気の毒そうに下を向いていた。ジョバンニはひとりで町のはずれに向かう。

 ジョバンニが丘の上で孤独に夜空を見上げていると、突然「銀河ステーション、銀河ステーション…」とどこからともなく聞こえてくる。次の瞬間、彼は銀河鉄道に乗っていた。そしてそこにはカムパネルラもいた。

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 牛の祖先の化石を発掘する大学士や鳥捕りの男と出会いながら、銀河鉄道の旅は続く。途中で「氷山に衝突して沈んだ船に乗っていた」という子どもと青年が乗り込んで来た。

 天上であるサウザンクロスに着くと、他の乗客は皆降りてしまい、ジョバンニとカムパネルラは2人になった。彼らは「本当のみんなの幸せのために歩もう」と誓う。しかし暗黒星雲を見たカムパネルラは、「お母さんがいる」と言って消えてしまう。

 ジョバンニは丘の上でひとり目覚める。牛乳をもらって川へ向かうと、カムパネルラが溺れたザネリを助け、そのまま行方不明になっていることを知る。また自分の父が帰ってくることを知り、彼は母の待つ家に向かって走り出す。

文=K(稲)