「これって血?」傷口から“血”を流す植物/『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』④

エンタメ

公開日:2019/7/22

動物たちだけでなく、「植物」の世界も、あやしい魅力にあふれています。『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』(菅原久夫:監修、白井匠:絵、クリハラタカシ:マンガ/ダイヤモンド社)から、植物のおもしろネタをイラストとマンガで紹介します。

『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』(菅原久夫:監修、白井匠:絵、クリハラタカシ:マンガ/ダイヤモンド社)

■ドラゴンブラッドツリーは、傷口から血を流す

『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』(白井匠:イラスト/ダイヤモンド社)

 ドラゴンブラッドツリー(竜の血の木)だなんて、少年が聞いたらワクワクが止まらない名前ですが、形は思いっきりキノコです

 かれらが生えるソコトラ島では、雨がほとんど降りません。そのため、海の水をふくんだ霧から、わずかな水分を効率よく吸収するために、かさを開いたような形になったといいます。

「名前のわりにワクワク感がない」と思ったあなた。残念がるのはまだ早いです。かれらの幹をナイフで傷つけると、なんと血のように赤い液体を流します。しかも条件さえ整えば8000年以上も生きるといわれる、世界最長寿候補の木なのです。

 さすがドラゴンブラッドツリー。その血は不老不死の秘薬として太古から村人に守られてきた……と思いきや、現地では歯みがき粉の原料としてガンガン人びとのくらしを助けてきたのだそうです

 最近は、温暖化の影響で海風の流れが変わって霧が少なくなり、ドラゴンは絶滅の危機にあります。

植物データ

名前 リュウケツジュ(リュウゼツラン科)

分布 熱帯アジア~アフリカ

大きさ 高さ約20m

メモ キノコのかさのような状態になるまでに500年かかる

著者について
菅原久夫(すがわら・ひさお)
横浜国立大学卒業。中学高校、短大で教鞭をとる傍ら、世界各地をめぐり植物の生態調査研究も行う。その後常葉大学の非常勤講師、SBS学苑の講師を歴任。他に、静岡新聞主催のカルチャースクールでも複数の講座を持つ。
著書に「色別 野の花図鑑」(小学館)、しずおかの文化新書「植物の富士登山」(共著、静岡県文化財団)、「富士山にのぼる」、「たべられる きのみ」、「くず つるしょくぶつのひみつ」、「まつぼっくり」(いずれも福音館書店)などがある。

白井匠(しらい・たくみ)
イラストレーター。ビジネス書から児童書まで、幅広いジャンルでヒット作を手がける。『職場の問題地図』シリーズ(技術評論社)や、『日本一楽しいカタカナドリル うんこカタカナドリル』(文響社)など。

クリハラタカシ
マンガ、イラスト、絵本、アニメーションなど多岐にわたり活躍。『ツノ病』(青林工藝舎)や、『たんぽぽふうたろうと7ふしぎ』など。