寝ている間に指紋ロック解除!妻が仕込んだ監視アプリ/『あなたのスマホがとにかく危ない』②

暮らし

公開日:2020/3/18

スマホ・SNSの犯罪はどんどん巧妙になり、デジタルに不慣れな人であっても無知ではいられない時代となりました。ではどうすればよいのか――。元埼玉県警捜査一課 デジタル捜査班班長が、スマホ・SNS、デジタル犯罪から身を守る方法をお伝えします。

『あなたのスマホがとにかく危ない~元捜査一課が教える SNS、デジタル犯罪から身を守る方法~』(佐々木成三/祥伝社)

スマホに監視アプリを仕込まれ、浮気がバレて修羅場に!

「まさか、寝ている間にロックを外されて監視アプリを仕込まれていたなんて……」

 いま、私は妻と離婚協議の真っただ中です。

 原因は自分の浮気。

 浮気相手の女性とは半年ほど前に知り合い、互いに割り切った関係でした。

 家では吐き出せない日頃の鬱憤を解消することで、家にストレスを持ち帰らずに済むなら、それも家庭平和のための一つの方法だとさえ思っていたのです。

 お互いに子どももいるので、家庭を壊さないようにうまくやっていたつもりでした。

 

 しかし、実際には不倫が始まって1カ月もしないうちに、妻には女性の存在を勘づかれていたようです。

 あるとき、私のスーツのポケットにレストランのレシートを見つけた妻は、「日付=●月●日、店の名前=●●●●、精算時間=20時、人数=2人」に目をやり、「怪しい」と直感したといいます。

 その日は「残業で遅くなる」と連絡していて、帰ったのは深夜0時過ぎでした。

 それなのに、出てきたのは2人で食事をしたレシート。

 このあたりが男の(いや、私の)ずさんなところなんだと思います。

 その店はカップルの多い店で、かつて妻とも行ったことがありました。

 だから余計にピンときたんでしょう。

 しかもレジが済んだのは20時。帰宅まで4時間の空白。

 移動や帰りの時間を考えても3時間以上ある。

 いったいどこで誰と何をしていたのか――と。

 

 疑惑を抱いた妻が、仲の良い女友達に相談したところ、

「旦那のスマホに監視アプリを入れて行動を監視してみたら?」

 と言われ、詳しくやり方のレクチャーを受けたそうです。

 その友達は、理系の大学を出て大手IT企業で働くバリバリのシステムエンジニアだったとか。

 

 妻が意を決して事に及んだのは、私が取引先との会食でかなり酔って帰宅した日の夜のことでした。

 私はシャワーを浴びると、5分もしないうちに眠りに落ちていました。

 妻はベッド脇に置かれた私のスマホを手に取ると、寝ている私の右手の人差し指をスマホに押し当ててロックを解除、教えられた手順で位置情報のわかるアプリをインストールした(らしい)のです。

 ロックに指紋認証を使っていて、それが人差し指であることは、私がスマホを使うのを横から見ていて当然知っていたと思います。

 

 妻が私のスマホにインストールしたアプリは、私がいまどこにいるのかリアルタイムで確認でき、なおかつ遠隔操作でカメラを起動して写真を撮ったり、音声を録音して連動させたパソコンからチェックできるものでした。

 当然私の動きは筒抜け……。

 そしてついに、「札幌1泊出張」とウソをついて都内のホテルに女性と宿泊した翌日、何食わぬ顔で帰宅した私が、「はい、これ」と都内にある北海道のアンテナショップで買った札幌土産を渡そうとしたそのとき、妻はその手を振り払って、冷たく言い放ったのです。

「はぁー!? それ、有楽町で買ったのバレてんのよ! 札幌に出張してるはずのあなたが、なんで東京の●●ホテルにいるの? ふざけるのもいい加減にしなさいよ! 何よこれ?」

 

 ――ハッと息を呑んだときには、すでに急所を突かれた後。

 妻の手には、浮気現場の写真のプリントと録音された音声。

 その瞬間、「終わった」と悟りました。

 言い訳しようにも、アプリによって証拠が出揃っている。

 あまりの衝撃に言葉も出ませんでした。

 

 結局、それからすぐに別居。慰謝料と養育費の結論はまだ出ていません。

 私は、基本的にスマホはいつも肌身離さず持っていました。だから自分の浮気はそう簡単にバレないと思い込んでいたのです。

 自分のスマホの取り扱い能力を過信していました。自分が気づかないうちに、知らないアプリを入れられることの怖さはものすごかった。

 もちろん、浮気については反省するばかりです。身から出た錆とはいえ、戻せるなら時間を戻したい……。

(※カップルであろうと、本人の同意のないアプリ等のインストールは、不正指令電磁的記録供用罪に問われる可能性があります。過去には夫婦間での逮捕例もあり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるれっきとした犯罪です)

<第3回に続く>