ひとつの文章に入れる要素はひとつだけ!その理由とは?/言葉を減らせば文章は分かりやすくなる⑦

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公開日:2020/6/12

日本語の専門家としてテレビで活躍中の著者が、「短く、わかりやすい文章」の書き方をやさしく解説。「書き出せない」「まとまらない」という文章が苦手な人から、「もっと文章スキルを上げたい」という人まで役立つテクニックが満載です。

『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』(山口謠司/ワニブックス)

一文一要素が原則

 文章が長くなる原因に、一文の中にいくつかの要素を入れてしまう、ということがあります。

 ひとつの文章の中に、多くの情報が入っていると、相手は内容を理解できなくなってしまいます。

 商品とは、いくつかの要素で成り立っています。商品内容を説明するときに、いくつかの違う要素を一気にお客さんに提示すると、魅力を感じてもらうことはできません。

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 たとえば、あなたが開発しようとしているパソコンAには、さまざまな魅力があります。

「大容量」「動作が速い」「動画編集能力が搭載されている」「画質がいい」など、お客さんは購入することで多くのメリットを享受できます。

記憶を消し去る文章とは?

 しかし、企画の決裁者に商品説明をするとき、

「このパソコンは、容量が他のノートパソコンより平均して大きく、使用動作も速く、動画編集機能も搭載され、高画質で動画を見ることができる。」

 という説明をしたところで、相手は何が言いたいのか理解することができません。情報を一気にまとめて文章化されても、どんなパソコンなのかよくわからないのです。

 容量の話をするなら、まずはそのことのみを説明するべきです。

「このパソコンの容量は、他のノートパソコンに比べて1.2倍ある。」

 というように、容量の大きさを伝えてから、そのサイズはどんなものか、それにどんなメリットがあるのか、を説明していくべきです。

 その説明が終わってから、動作の話をする。

 こうしたほうが、相手は商品の説明文を理解することができます。

 いくつもの要素がちりばめられていると、相手は文章を読んでいる間にパソコンの情報をどんどん忘れていってしまいます。それどころか情報がひとつも頭に入らない可能性もあります。

 ひとつの要素しか入れずに、ひとつの文章を書く。

 これを意識することで、文章は短くなるのです。そして、それがわかりやすさにもつながります。

続きは本書でお楽しみください。