あのキャラクターが由来の「ピカチュリン」 イチローはこの働きがすごかった!?/声に出して読みたい理系用語⑥

スポーツ・科学

公開日:2020/6/13

言うだけで気持ちいい! 説明できたらカッコいい! 理系でも全部は知らない、珠玉の用語を集めました。思わず人に話したくなる、カッコイイ理系用語が満載の1冊から、10の言葉を厳選してご紹介します。

『声に出して読みたい理系用語』(信定邦洋/KADOKAWA)

あのキャラクターが由来!?
ピカチュリン

生物
自慢できる度:8

 思わず「ピカー!」と叫びたくなる、とてもキュートな名前ですね。「チュリン」のところもステキ。

 ピカチュリンは、視覚の神経伝達に関係しているタンパク質(または遺伝子)のことです。大阪バイオサイエンス研究所の古川貴久氏らが、マウスを使った実験で発見しました。

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 特に、目から受けた光の刺激を電気信号に変えて脳に伝える際に重要な役割を果たし、動体視力の優劣にも関係しているといわれています。『ポケットモンスター』に登場する、光を発して電気を操る素早い動きが特徴のキャラクター「ピカチュウ」から名づけられました。

 ピカチュリンを欠失したマウスでは、伝達にかかる時間が正常なマウスの約3倍になり、また動く物に対する眼球の追従の遅れなど、さまざまな視覚異常が現れます。

 古川氏によると、「イチロー選手のように動体視力に優れた一流の運動選手は、ピカチュリンの働きに違いがあるかもしれない」とのことです。

 将来的には、iPS細胞を用いて視細胞を作り出す再生医療への応用や、筋ジストロフィー患者に特徴的な症状のひとつである網膜異常の解明に貢献することなど、幅広い分野での応用が期待されています。



<第7回に続く>