敬愛する作家さんが教えてくれた、夢への近づき方ーー『図書室で暮らしたい』/佐藤日向の#砂糖図書館⑪

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公開日:2021/2/20

佐藤日向

皆さんは今、”叶えたい”と望んだものを、どれくらい実現できているだろうか。

 

実現に至るまでにはまず、自分自身が何を好きで、何に全力になりたいかに気づく必要がある。

夢というのは叶えるのも難しいが、気づくことはもっと難しいことだと、私は思う。

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夢を追いかけるきっかけや衝撃を何からもらうか、私たちは予想することができない。

だからこそ沢山の作品に触れたり、経験をすることが、大切になってくるのだと思う。

 

今回紹介するのは、辻村深月さんのエッセイ集『図書室で暮らしたい』だ。

作家さんの中で一番好きと言っても過言ではないくらい、私は辻村深月さんを尊敬しているのだが、この作品を読むことによって、私は辻村さんが紡ぐ言葉たちが好きなのだと、改めて感じることができた。

 

思い返せば、私の日常には常に本があったように思う。

小中学生の頃、休み時間に本の世界に入り浸り、授業の前にリアルに戻ってくる瞬間が少し寂しくて、私は好きだった。

本の世界に入る許可をもらえるのは読者の特権で、自分が特別な何かになれた気がした。

特に、読み終えた物語に浸る時間が楽しくて仕方がなく、ひとりで過ごす時間は私にとって大切で愛おしいものだった。

 

だけど、小中学生の休み時間は、外で遊ぶか教室内でおしゃべりをするのが普通で、周りに読書仲間はひとりもいなかった。

多分私は他の子とは違う、かなり変わった子どもだったんじゃないかと思う。

『図書室で暮らしたい』を読むと、辻村さんの学生時代が物語の世界であふれていたことや、好きなことを貫く姿がこの作品から感じられて、私が歩んできた道も肯定してもらえたような気がして、嬉しくなった。

 

どのエッセイにも辻村さんの魅力がぎゅっと詰まっていたが、中でも印象に残っているのは、辻村さんが綾辻行人さんにお手紙を出して、それをきっかけに文通が始まったというエッセイだ。

 

私も仕事柄、特にライブや舞台のあとに、ファンの方からお手紙を頂く機会がある。

手紙というのはすごく特別なもので、気持ちがダイレクトに伝わってくる。

便箋選びに文字の個性、至るところから書いてくれた人の雰囲気が、ほのかに香る気がする。

手紙というツールは、SNSよりも素直になれるものだと思う。

虚勢を張る必要がなく、周りの目を気にせずに一対一で、伝えたい気持ちを書き留めることが出来るからだ。

 

辻村さんは、自分が綴る言葉に素直にあり続けたことで、”文字”というツールを通して作家になる以前にもご自身の夢を叶え続けていた。

それは、作家になる前の寄り道とも呼べるものなのかもしれない。

 

夢を叶える中で決して忘れてはならないのは、感謝の気持ちだ。

実際、辻村さんのどのエッセイにも、感謝の気持ちがあふれていた。

いつの日か、辻村さんの作品で生きる子達を舞台の上で演じられる日まで、私は感謝の気持ちを忘れずに演じ続けていきたいと思う。

 

さとう・ひなた
12月23日、新潟県生まれ。2010年12月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして、メジャーデビュー。2014年3月に卒業後、声優としての活動をスタート。TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』(鹿角理亞役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)のほか、映像、舞台でも活躍中。

公式Twitter:@satohina1223
公式Instagram:sato._.hinata
レギュラー配信番組『佐藤さん家の日向ちゃん』:https://ch.nicovideo.jp/createvoice

この記事で紹介した書籍ほか

図書室で暮らしたい (講談社文庫)

著:
出版社:
講談社
発売日:
ISBN:
9784065213148