夢があるのにスキルアップを怠っていた…! こんな私でも転職できる?/マンガ 転職の思考法

ビジネス

更新日:2021/9/13

【原則1】転職は悪ではない

「転職は、裏切り者のすることだ」
「この会社でダメなら、ほかの会社でも、どうせダメだよ」

転職をしようとすると、どこからともなく、こんな声が聞こえてきます。

特に初めての転職は怖いもの。一歩を踏み出そうとしているときに聞こえる声に、さらにエネルギーを奪われ、不安に襲われます。

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でも、断言できます。転職すること自体を「悪」というのは間違っています。

転職とは、自分のタイミングで働く場所を選ぶ、ということです。転職が「悪」であるなら、産休や病気、介護で職場をいったん離れた人の戻る世界がなくなってしまいます。

それは絶対におかしなこと。そうならないためにも、自分が働く場を、もっと自由に、何度でも選べる世の中であってほしいです。

かつての日本の大きな会社には、年功序列やジョブローテーションという制度がありました。言うなれば、会社の中に転職市場があったのです。

「この経験のあるAさんには伸びている新事業部に行ってもらおう」
「マネジメント力のある海外志向のBさんを上海事業部に異動してもらおう」

こんなふうに、社内に転職のチャンスが存在しました。

しかし、終身雇用制度が崩れ、ビジネスが多様化している今、「働く場所を変えてみたい」と思ったなら、会社の外の世界を目指すしかありません。自分の活躍できる場所に行くために、転職という手段を使うのです。

逆に、転職することが、必ずしも「善」にならない場合もあります。

転職を考え、今の仕事や自分のキャリアを考えてみた結果、「転職しない」という決断が最善であると気づくケースもあるからです。

転職することも、今の会社で働き続けることも、自分の人生の目的をかなえるための手段です。誰もが「毎日を楽しく過ごしたい」「家族と幸せに生きたい」「夢をかなえたい」といった人生の目的があるはずです。

そのための手段の1つが転職なら、転職が「悪」であるはずはありません。

【原則2】市場価値と社内評価は一致しなくていい

本来であれば、「市場価値」と「社内の評価」は一致しているほうがいいです。

なぜなら、市場価値と社内評価が一致しているということは、いつでも転職可能で、どこででも働ける人だという証明になるからです。イメージは、グローバル企業で働いているような人たちでしょうか。市場評価と社内評価が一致している人たちのいる業界は、転職やヘッドハンティングも盛んで、流動性が高い。

一方で日本の会社で働いていると、実際のところ、社内での評価が高いけれど、市場で評価されない人というのが、かなりの数、存在します。

たとえば、「営業部のA課長は、こういう根回しをしてから提案すると企画が通りやすい」とか、「難しめの話は機嫌の良い昼食後を狙えばいい」とか、ちょっとした社内におけるコミュニケーションのコツのようなものがあります。これもまた、日常業務を進めるうえでは結構重要なことだったりするので、うまく立ち回れる人は、「あいつはデキる」と評価されたりします。とはいうものの、転職をするときには、そのコツ自体は何も役立ちません。

逆に、今いる会社でパッとしない存在だとしても、市場に出たときに価値が高いという人もいます。それは、配置されている場所(ポジション)が悪いだけで、ポジションがピタッとハマれば、活躍できる可能性があるからです。

実は、私のチームで活躍するデザイナーの女性は、総務職を希望して面接に来た方です。専門学校でデザインを学んだ後、デザイナーとして約10年働き、出産を機に、時短で働ける事務系の仕事に就いていたそうです。でも、面接時の印象ではデザインの仕事が好きで、実力もありそうだったので、デザイナーとして採用しました。

彼女は今、面接のときにこちらが期待していた以上の成果を出してくれています。何よりうれしかったのは、入社して3カ月くらいたった頃、「私、やっぱりデザインの仕事を愛していました。楽しいです!」と言ってくれたことです。その人にとって輝ける職場があるということを実感した瞬間でした。

もし、あなたが今、社内での評価が低かったとしても、転職を諦める必要はまったくありません。会社の外(マーケット)を見てください。自分の市場価値で勝負する方法は、このあとじっくりとお話しします。

【原則3】9割の人は、S級人材ではない

「S級人材」というのは、誰でも知っているような会社で働いていて、十分な実績を持ち、転職活動なんて経験せずにヘッドハンティングだけで転職先を決めていくような人たちです。

もちろん、こんな人たちは1割いるかいないかで、それ以外は、自分のキャリアに悩む普通の人たちです。転職に関しても、「いますぐ転職したい」と焦っている人は少ないかもしれません。

「自分は果たして違う会社でも働けるのか?」
「自分は転職市場で、どんな評価をもらえるのか?」
「今より楽しく働ける場所があるのか?」

こんなふうに、自分の働き方を見つめ直すきっかけとして、転職の可能性を考えている人のほうが多いのではないでしょうか。

転職を考えることは、自分の生き方を考えることです。

9割の人にとって転職活動とは、自分を再定義するチャンスでもあります。

・自分は何をしてきたのか
・自分は何ができるのか
・自分にはどういう価値があるのか
・自分はどういう生き方がしたいのか

私たちは、自分の役割を「再定義」し続けて生きています。

人生においては、子どものときは「扶養される人」、社会人になったら「独立して生活する人」、結婚したら「パートナーと生活する人」、子どもを持ったら「家族を養う人」、親が高齢になったら「介護する人」……。人生100年時代ですから、さらに再定義が続いていきます。

仕事に関しても実は同じです。会社の事情や社会情勢、人間関係、自分の成長など、さまざまな環境が日々変化しているはずです。その中で、自分の仕事における役割だけが変わらないということはあり得ません。

転職するかどうかは、結果にすぎません。転職の思考法を手に入れて、自分の役割を再定義してみましょう。

<第2回に続く>

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