本を書くこと、本を読むこと。ミステリを書いた所感/小林私「私事ですが、」

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公開日:2022/2/5

 そんなこんなで今こうやって改めて物を書こうと思えて、かつ書ける場所も頂けるなどという、本当に人生何があるか分からんなという気持ちです。

 本も絵も音楽も好きです。ただそれらを一人の人間として表現することは容易ではありません。例えばミュージシャンが絵を、小説を書きましたと言われても「舐めんな」と思う。実際、小林私に対しても思われているでしょう。僕もそう思う。「Art」という言葉を都合良く、簡単に使ってんなよと思う。

 ぶっちゃけ、食っていきたいとかはないんです、本当に。元々表現とは無縁の場所で働こうと考えていたくらいですから。表現を辞めることはないのだから。
 でも現状食えていけそうな未来があると。色々公にやらせてもらえる場があると。そうなると失礼のないようにと、より一層気持ちを引き締めなければなりません。

 

 ようやく今回の本題ですね。

 僕が日頃愛読している米澤穂信氏の古典部・小市民シリーズや、有名どころだと「空飛ぶ馬/北村薫」とか。自分の読書遍歴を洗ってみると、いわゆる”日常の謎”と呼ばれるジャンルに行き着きました。
 なるほど俺はこういうのが好きだったのかと腑に落ちると同時に、書いてみたいという気持ちがふつふつと湧き上がってきました。

 その勢いのまま──と言っても随分時間がかかりましたが──書いてみたのが前回の『幽霊のいる窓』です。元々掲載するかどうか迷って、友人などに見せて、それから踏ん切りがつきました。さながら自作の漫画を初めてネットに公開する中学生の気持ちになりました。青春だなあ

 

 掲載を迷っていたのには理由があります。物書きとして名乗る為に誠実であるにはミュージシャンとしてのエッセイだけでは不十分ではないかと、そして小説を読んできた自分にどうにか胸を張りたいと、そう考えていました。
 しかし「そこそこ知名度の上がってきたミュージシャンであることはさておき、小説として読んでくれないか」というのは凄く怖いことです。それに、せっかく作った物を見せないのはもったいないですから

 作品制作は、作品の公開をもってようやくスタートラインなのです。

 

 『幽霊のいる窓』の軽いあとがきを。

 この話は僕の実体験を元にしています。友人とドライブをしていた時に見かけた現象に、二人してびっくりしたことから、たった1分くらいの驚きを膨らませるのは新鮮で面白かったです。

 個人的に、ライトノベルっぽさとは、登場人物の容姿への細かい追及が一因になっていると感じます。ウズラや長野の容姿のイメージはもちろん僕にはありますし、どうしても書きたくなってしまうところを今回は抑えに抑えました。もちろんライトノベルっぽくなっても良いんですけど。
 そこの良い塩梅を探るのがなかなか難しかったところです。この二人の今後に関しては、また連作として続けたいなと思っています。

 

 最後に、これはダ・ヴィンチWebさんに質問なんですが、物語の中で登場人物らが旅行をするシーンってあるじゃないですか。旅行をするシーンを書く為の旅費って編集部から出ますか?人のお金で旅行がしたいです。リアリティを出してより良い作品を書けるように、物語の中の彼らと同じ目線を辿りたいです。

 タイトルは例えば「九百マイルはめちゃくちゃ遠すぎる」
これでいかがでしょうか。東京から北上して大体宗谷岬くらいまで行けるそうです。

 ご検討、宜しくお願い致します。

こばやし・わたし
1999年1月18日、東京都あきる野市生まれ。多摩美術大学在学時より本格的に音楽活動をスタートし、2020年6月に1st EP『生活』を発表。シンガーソングライターとして自身のYouTubeチャンネルを中心に、オリジナル曲やカバー曲を配信し支持を集めている。J-WAVE (81.3FM) 「SONAR MUSIC」内「SONAR’S ROOM」毎週月曜日パーソナリティを担当中。ニューアルバム『光を投げていた』を3月9日にデジタルリリース、3月23日にCDでリリースする。先行シングルとして清竜人氏提供曲“どうなったっていいぜ”を配信中。
3月5日 J-WAVE トーキョーギタージャンボリー 2022 supported by 奥村組
5月1日 VIVA LA ROCK2022
に、それぞれ出演予定。

Twitter:@koba_watashi
Instagram:https://www.instagram.com/iambeautifulface/
YouTube:小林私watashi kobayashi
YouTube:easy revenge records

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