その価値観はどこからきたもの? SNS普及で可視化された「同調圧力」とは?/誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

暮らし

更新日:2022/7/21

 いつも多数派の意見に流されてしまう…。そんな「同調圧力」に弱い方も多いのではないでしょうか?

 今回ご紹介する『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』では、臨床数9万件超の経験を持つ、心理カウンセラー大嶋信頼さんが「同調圧力」への向き合い方をわかりやすく解説します。

「同調圧力」のメカニズムがわかれば、もう嫌な方向に流されない!『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』を読み終えた後、きっと心も軽くなるはず。

 面と向かっては言えなかった同調圧力的な言葉が、対面しないSNSだと言える時代に。孤立する恐怖の有無によって態度を変える〝子ども化〞した人が急増!

※本作品は大嶋信頼著の書籍『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』から一部抜粋・編集しました

誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法
『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』(大嶋信頼/祥伝社)

自分の中にも「同調圧力」がある、と気づく

◎「言いたいことが言える」と「同調圧力的な投稿」の違い

 職場、家族等々、先程は自分が現実として直面する同調圧力について触れましたが、それに対して、近年面と向かわない形での同調圧力を増大させ、「同調圧力」というワードを一般化させたのは、やはりSNSでしょう。

 SNSの登場は、前々からあった職場等での長時間労働などのハラスメントを浮き彫りにし、それらが人の命を脅かす、といったようなことを明白にするのに役立ちました。

 しかし、今度は、ハラスメントを炙り出す働きをしていたSNSの中で、「あの人は間違っている!」という炎上や「〇〇警察」などの同調圧力のムードがはっきりと広がるようになります。

 これまで頭で思っていても面と向かっては口に出されなかった同調圧力的な言葉が、SNSという対面しない場では言えるようになってしまったのです。

 

 これは、先程までの話で言えば、「孤立させられる恐怖がないから、SNSでは同調圧力に屈せずに好きなことを言える」と、とれるかもしれません。

 でも、多くの場合、SNS上で実際になされていることはどうでしょうか。

 そこにあるものは、「我慢していた言いたいことが言えるようになった」ではなく、「世の中的によいことだと信じられているもの(慣習やルール等)を、そこに適応できない人に押しつけるようになった」ではないでしょうか。

 つまり、「同調圧力に屈しないようになれた」のではなく、むしろ多数派の考えを仕入れて同調圧力に流され、従った。そのうえで、孤立する心配のなくなった自分が「同調圧力を発生させる側」になり、ボロを出して突如少数派に転落したような人を攻撃しているだけ、というわけです。

 

 そして、このSNS発の同調圧力に代表される厄介なところは、そこに加わった人がボロを出した一人を傷つけても、「みんなが思っていることを自分が代弁しているだけ」「自分は間違った人を正しているだけ」「悪いことをやった人が罰を受けただけ」といった認識になりがちなことでしょう。

 SNSでは多数派・孤立しないことを背景に、正義を押し売りして公然と人を罰するところまでいってしまったのです。

 

◎「同調圧力チルドレン」という病

「孤立する恐怖を前にして」という点です。

 先程、同調圧力に従っている=〝子ども〞の状態、という話をしましたが、それは孤立する恐さゆえに〝子ども〞の状態に引き戻されて同調圧力に従ってしまう、ということでした。

 一方、SNSで同調圧力をかける人も、世論や大衆の空気という名の同調圧力に流され、「孤立しないこと」をわかったうえで人を叩いている、と説明しました。

 つまり、SNSなどでよく見られる正義中毒的な「同調圧力をかける人」も、もとをただせば「同調圧力に従ってしまう人」なのであり、根っこに共通するものは孤立する恐怖の有無によって態度を変える〝子ども〞の状態なのです。

誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

 そもそも〝大人〞というのは、他者や世の中がどうであれ、それと自分を切り離して自立した言動をとることができます。加えて、そこには安易な介入や同調圧力をかけないことによる相手への尊重もあるわけです。

 しかし、同調圧力に従って〝子ども化〞した人(「同調圧力チルドレン」と名づけます)の根底には、「何をやっても許される!」「何を言ったって、相手は平気でしょ?」というような感覚が存在しています。

 ちょうど幼い子どもが「自分は子どもだから、大人に何をやっても大丈夫」と思って、戯れながら大人にバシバシとパンチやキックをするのと変わりません(たとえ子どものパンチでも、結構痛いんですよね……)。

 そしてこれは、コロナ禍で話題になった自粛警察が、「県外の車だから」「営業をやめないから」と、いまなら大丈夫とばかりに嫌がらせの張り紙をしたり、車体に傷をつけたりしていたのと同じ構図なのです。

 同調圧力によって〝子ども〞の状態に引き戻されているから、「自分は正しいこと(正しいと思い込んでいること)をしているのだから、何をやっても許される」と、相手の状況を一切尊重することなく、なんでもできてしまった。

 マスクをつけていない人を取り締まる「マスク警察」も、表面だけを見ればよいことをしているように見えますが、その構造としては「マスクをつけていない相手にどんな事情があるかなど1ミリも尊重せずに、多数派側からの視点で退治する」というヒーロー戦隊モノが好きな子どもじみた状態が見え隠れしているのです。

『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』をAmazonで読む >


あわせて読みたい