その価値観はどこからきたもの? SNS普及で可視化された「同調圧力」とは?/誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

暮らし

更新日:2022/7/21

◎どんな相手をも尊重する〝大人〞の状態

「みんなが望むから/悪者を叩くのだから」、「同調圧力をかけていい/何をしてもいい」というような発想が一般化することは、大きな問題を内包しています。

 なぜなら、他者や多数派を基準にするこうした同調圧力チルドレンが増えることで、〝大人〞が誰もいなくなるから。

 自分の言動に責任を持たなくなる〝子ども〞だらけと化してしまうのです。

 

 そうなると、より一層世の中に「〇〇が悪い!」「××は変われ!」と誰かを叩く人が増え、その逆に叩かれないように人の目を気にする言動をとる人だらけにもなっていきます。

 すると、周囲の目を気にする不安や同調圧力はもっと強くなり、多数派の正義ばかりを押しつける同調圧力チルドレンがますます増殖していく、というような悪循環が広がっていくのです。

 

 とはいえ、この同調圧力チルドレンの状態とまったく無縁でいられる人など、いないと言ってもいいでしょう。

 誰の中にも、育ってきた過程において「よいもの」として与えられてきた生きるうえでのルールがあって、それに反するものが現われると反応してしまうようにできているからです。

 私の場合も、「自分が同調圧力チルドレンになっているなんて認めたくない!」と思うものですが、たとえば早朝にジョギングをしているときに「あれ? なんであの人はちゃんと信号を守らないんだろう?」と思ってしまっている。

 実はこの時点で、「私が同調圧力を生み出している!」ということにもなるわけです。

 

 もちろん、法律等も含めて、一般的に「信号を守っていない人が悪いでしょ!」というルールが存在していることはわかります。

 とはいえ、私たち個人が人を正すことのどこまでが正当で、どこからが同調圧力や越権行為になるのか、その線引きを明確にすることは難しいでしょう。

 それに、たとえば信号であれば、違反行為を取り締まるのは警察の仕事です。それ以外の人に権限はありませんよね。

 であれば、自立できている〝大人〞としてとれる立場は、安易に他人を叩くことではなく、「信号無視を取り締まるのは私の役目じゃない」と気づけることなのです。

 

 多くの人は他者に介入しすぎていて、圧に流されて知らないうちに同調圧力チルドレンと化してしまっているから、「ヒーロー戦隊」の気持ちになって「あの人は間違っている!」と退治したい気持ちになってしまいます。

 でも、そうなってしまったとき、「あ! いま自分は同調圧力チルドレンになっている!」と認められるようになることが、〝子ども〞から〝大人〞に成長できるということなのかもしれません。

「他者からの同調圧力」を批判する前に、「自分が発する同調圧力」に気がつくことが、実は同調圧力から抜け出すことの助けになるのです。

 

◎「同調圧力」は、自分ができていないことの裏返し

 では、なぜ世の中は同調圧力に満ちあふれているのか。

 それは、相手の過ちを見ていたほうが、自分の幼さを見る必要がなくなるからです。

 相手の幼さばかりを見て怒っていれば、自分自身が成長していないことには目を向けずに済みますよね。

 でもこれこそが、〝大人〞として自立していない、自分自身の言動に責任をとっていない、ということなのです。

 

 ですから、自分の心の内側に注目してみましょう。

「あの人は間違っている!」と同調圧力チルドレンになってしまっているときに、自分の心を見つめてみてください。

 すると、「あ! 人の悪いところを指摘することで、代わりに安心を得ていたんだ!」「実は、自分の中に見たくないものがいっぱいあるのかも……」ということが、わかってきます。

 考えてみれば、本当に自分のやるべきことで一生懸命な〝大人〞というのは、自分の人生そのものに対して果たすべき責任で精いっぱいですから、他人に干渉しているヒマなんてきっとありませんよね。

 つまり、同調圧力に翻弄されているということは、〝子ども〞のままで見ないようにしてきた、果たせていない責任がたくさんある、ということでもあるのです。

 

「自分にはできていないことがたくさんある」ということを見たくない、と思ってしまうのは、同調圧力に流されてしまって〝子ども化〞しているから。

 だから、「いま、自分は同調圧力チルドレンになっている」と認めてみると、自分自身が本当にやるべきことに再び目がいくようになります。

 流されずに「自分が本当にやりたかったことをやってみる」と決めると、しっかりと自分の足で立ち、同調圧力とも無縁な〝大人〞になっていけるのです。

<第4回に続く>


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