いつも不安、人が苦手、自分を責める…親から受けた「育ちの傷」を癒す方法とは

暮らし

2018/4/28

『親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒やす方法がわかる本』(藤木美奈子/講談社)

 子どものときに親に愛してもらえなかったり、虐待されたり嫌な経験を味わったりした人は、自尊心が著しく低くなり、社会でも劣等感を抱きやすいという。

『親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒やす方法がわかる本』(藤木美奈子/講談社)は、そんな「育ちの傷」を負ってしまった人のための1冊だ。著者自身も、暴力などの問題のある家庭に育った。

 そんな著者が27歳のときに自分でやりはじめたのが「自己流性格改造トレーニング」。これは後に判明したが「認知行動療法」と同じやり方のものだった。認知行動療法とは、ものの考え方や受け取り方に働きかけて気持ちを楽にする療法だ。

 その後著者はNPOを立ち上げたり、大学の准教授としてさまざまな活動を行い、障害福祉サービスに従事している。そこで人々に提供しているのが「SEP(自尊感情回復プログラム)」である。

 SEPとは、5 回で構成されたプログラムで、参加者の自尊感情を力強く押し上げ、その効果を持続させるものである。約2週間に一度のペースで、1人のファシリテーターと5人程度の参加者が集まり、認知の再構成や個別課題の修正などを行う。

 親から受けた傷は、その後の人生に大きく関わる。自尊心が低いあまりに、自分の選択に自信がなかったり、DVをするパートナーを選んだり、怒りっぽくなったりしてしまうという。

 SEPは、暮らしの中で自分がどういう場面で困りやすいかを思い出し、その時どういうリアクションや行動をすれば良いかを考えていくワークを用いる。

 たとえば、自分にとって苦手な場面を思い出してみよう。「いつもここでパニックになる」とか「過剰に怒ってしまう」という場面に対して、次の3点を考えてほしい。

1.その場面に対して怒りが出てくる考え方をしてみよう
2.そういう考え方をすると、どんな気持ちになるだろうか
3.では、どう考えれば気持ちがラクになる?

 それでは、SEPから具体的なワークを1つ出題してみよう。

 お母さんは仕事をしています。朝、保育園に間に合う時間に子どもと家を出ようと急いでいると、子どものパンツにウンチを見つけました。こんな時、お母さんはどう考えて平常心を保てばいいでしょうか?

 まずは、「怒りが出てくる考え方」をしてみよう。「こんなときになんでウンチするの! 急いでいるのに!」とか「私の苦労をわかっていない!」などであろうか。

 2番目に、そういう考え方をするとどんな気持ちになるか考えてほしい。「イライラがマックスになり落ち着かない」「怒る自分がみじめになる」などが考えられる。

 では、一体どう考えたら気持ちがラクになるだろうか。こういう場面で相手も自分も叱らない、責めない考え方をするコツは「いいこと探し」をすること。

 SEPで実際に出た例が「ウンチが出てよかったね」「家にいるときで良かった」「健康な、いいウンチだね」というものだ。もしこの考えパターンが構築できれば、ストレスもぐっと減るはずである。

 SEPは、自尊感情を高めて精神安定をはかることを目的としている。SEPのワークに直接参加はできなくても、その考えを活かすことはできるだろう。

 過去に戻ってやり直すことはできなくても、親から受けた傷はなかったことにはできなくても、今のあなたを変えられる可能性はある。自分がいつも困る場面で、うまく対応できるようになることはひとつの「治し方」と言えるだろう。

文=女生徒