【第2回】取り扱い点数が少なくても魅力的な電子書店とは? ――BOOK☆WALKERの中の人に聞いてみた!

更新日:2013/8/14

今回は、角川グループ直営の電子書店であるBOOK☆WALKERの中の人に突撃取材! 取り扱い点数は約18,000タイトル(2013年3月10日時点)と他の電子書店に比べて決して多くはないBOOK☆WALKERですが、積極的なセールや特集キャンペーンなどで売上を伸ばしていると聞きます。さて、その秘訣とは!?


売上は好調。ほかにも興味深い傾向が……。

――先日2周年を迎えたBOOK☆WALKERですが、ずばり売上はどのくらいの規模になっているのでしょうか?

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橋場一郎
株式会社ブックウォーカー サービス企画部兼サービス開発部 部長
2012年1月より現職。社会人になってからずっとインターネット業界。地図、位置情報、地域情報、Webメディア、広告システム、ECサイトを経て電子書籍の業界に飛び込む。
元々漫画も含めて読書にあてる時間は長い方だったので、電子書籍の発展に貢献できることは天職だったのでは無いかと思い始めている。最近読んだおすすめの電子書籍は『百年法』(山田宗樹/角川書店)。

橋場: 売上については非公開なんです、ごめんなさい。ただ、昨年と比べて3倍以上の伸びになっています。アプリ(AndroidとiOS)の累計ダウンロード数も97万を超え、この3月末で100万を達成できるはずです。iPhoneのIn App Purchase方式の電子書籍ストア(アプリの追加コンテンツとして電子書籍を購入する方式。大手ではこの方式を採用しているのは紀伊国屋書店のkinoppy)では2年連続売上1位を獲得しています。

――そういった伸びや反応から「電子書籍元年」がやってきた、という実感はありますか?

橋場: ようやく、という感じですね。とはいえ、各社さん含めて商売としてはまだまだ厳しいと思いますので、勝負はこの2013年度ですね。

――2年前に別の取材でうかがった際には、Appleのプラットフォームでは表現上取り扱えない(性的な表現については審査が通らない)作品もあるということで、AndroidやPCでの独自ストアに注力するというお話しもありました。現状はどうなっていますか?

橋場: 表現もそうですし、手数料や価格(iTunesストアでは段階的な価格設定<Tier>が基本となっており、売り手が自由な値付けは行えない)という観点からも戦略的にそういう方向に持って行っていますね。2011年12月の時点ではiOSが8割、その他(AndroidやWeb)2割という感じでしたが、先月にはiOSが45%、その他55%(内Androidが25%)にまで変わってきました。これは予定よりも早いペースです。来年度には3:7になることを目指したいと考えています。

――iBookstoreがまもなく開始(※取材時。その後オープンしたiBookstoreでは価格設定は自由に行える)というなかで興味深い傾向ですね。BOOK☆WALKERではいわゆるラノベを多く取り扱っていますが、表現の問題が影響しているということはあるのでしょうか?

橋場: それはあまりないですね。コミックや写真集など引っかかりそうなものは、iOS側のストアには出していないということもあるかもしれませんが。

――ということは、お客さんが自らそちらを選んでいる、ということになりますね。

橋場: 選んでいただけるようにしている、ですね(笑)。Web側では弾力的な価格設定が可能なので、セールやキャンペーンを行うことができます。また審査もありませんから、任意のタイミングで作品を並べることができる。公式Twitterでのキャンペーン告知もWebへのリンクを張るようにしています。


※このキャンペーンはすでに終了しています

お客様からは、iOSのアプリで買いたいという声も上がるのですが、こういった事情があるのでご理解いただければと……。In App Purchaseは手軽でいい決済手段だと私たちも思っているんですけれども。クレジットカードを持っていなくてもiTunesカードで本が買えますから。若年層に優しいですからね。