【第18回】「ジャンプ」がついに本格電子化!「週刊少年ジャンプ+」の狙いとは?

ジャンプ

2014/10/29

 9月22日に、週刊少年ジャンプの電子版「少年ジャンプ+(プラス)」(以下、ジャンプ+)が始まりました。週刊少年ジャンプは言わずと知れた日本最大の売上を誇る週刊マンガ誌。最盛期の発行部数は653万部(1994年)、数々の名作を生み、現在も人気アニメの原作が絶えず生まれ続ける週刊マンガ誌の代名詞的存在です。これまでも単発的に電子版の配信は行っていましたが、毎号の電子版を紙の雑誌と同じタイミングで発売するのはこれがはじめてとなります。中の人に、この取り組みの狙いを詳しく聞きました。

今回お話を伺った週刊少年ジャンプ編集部の細野修平副編集長(右)と籾山悠太さん(左)

満を持しての電子版開始

――震災直後の電子版配信、45周年記念号や約1年前に取材させて頂いた増刊号(ジャンプLIVE)などこれまでも単発での電子化の取り組みはありましたが、今回本格的な紙版の週刊少年ジャンプ(以下「本誌」)とのサイマル(同時)配信に踏み切った経緯を教えてください。

細野:2012年の「ジャンプBOOKストア!」をはじめたのがやはり大きかったと思います。コミックスのデジタル化をそこで一気に進めたこと、そして売上があがって手応えがあったことが重要でした。

震災直後に、印刷工場が被災して本誌が流通させられない、という事態に陥ったときに単発で電子版を刊行するということはありました。しかし、毎週沢山の作品が掲載される流れの中では、毎号電子化するといったことはあの時点では物理的に難しかった(体制が整っていなかった)と思います。実際、震災のときも発売日と同日の配信ではありませんでした。

本誌との電子版サイマル配信が実現できたのは、昨年の45周年記念号です。読者からの反応という意味ではここでも手応えはありました。

その後、今年に入って2度サイマルを実験的に行っています。今申し上げたような「作業がクリアできるのか」を試していた、というのが実情です。

――具体的にどのようなハードルがあったのでしょうか?

細野:単純に言ってしまえば、印刷・電子化が可能なデータを発売日の何日前に揃えることができるのか、ということですね。これまで本誌の工程では、各作品の原稿が上がってくると、まず印刷所に入稿し、校正紙が上がってきたら誤植などのチェックを行います。それをまた印刷所が完全な(本誌としてまとまった)形としてとりまとめ、そこから印刷が始まります。同時配信の場合は、印刷できるデータができた時点で、電子化の作業が始まります。電子化の方が印刷よりも工程が多くて、容量を軽くしたり、これが一番重たい作業なのですが一部カラー化を施したり、本誌の記事コンテンツを抜き取る作業も生じます。そういったプロセスを毎週途切れなく回すことができるのか、という検証をこれまで行ってきたわけです。

電子版「週刊少年ジャンプ」43号のフルカラー『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)
(C)尾田栄一郎/集英社

――誌面の電子化だけでなく、その過程では動画やアプリなどを組み合わせていましたね。

細野:そうですね。人気キャラを組み合わせた写真が撮れる「ジャンプカメラ!!」や、以前取材にお応えした「ジャンプLIVE」ではクッキング動画やストーリー分岐が話題となりました。

現在、「ジャンプ+」がまず「マンガを読むアプリ」という位置づけになっているのも、これまで行ってきた様々な取り組みの結果から、「シンプルなアプリにしよう」という方針があったからです。もちろん今後もマンガだけに留まらないチャレンジは続けていきます。例えば、Vジャンプが発行する攻略本にコードを添付し、それを打ち込むと、「ジャンプ+」でもその電子版が読めるようになる、という取り組みをはじめたのはその一例ですね。紙の本の読者に対するサービスの一環ですが、紙版と異なり電子版では攻略内容が徐々にアップデートされていく仕掛けも施してあります。一部のコンテンツは動画でも提供していきます。

スマホの普及によって、デジタルデバイスは生活と不可分なものになっていきます。そんな中、よく「紙を捨てて電子へ向かうのですか?」といった質問を受けるのですが、そうではなくて、紙と電子を融合させて、読者の皆さんには両方を楽しんでもらう方向を目指しています。

>>本誌と「ジャンプ+」の違いと狙い