海獣哺乳類の研究や写真家としても著名な水口博也さんが教えてくれる『クジラの進化』<ブランニュープラチナブック>

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/2

約5000万年前の恐竜たちがいる時代からの「クジラの進化」をドラマチックで迫力のある絵と、美しいデザインの進化系統樹で辿って

クジラの進化

作:水口 博也絵:小田 隆監修:木村 敏之

みどころ

深い海で響く歌。海面から吹き出す真っ白な水煙。波を持ちあげて立ちあらわれる、山のような体。そのとき海中を悠々と泳いでいるのは、同じ地球上で今も生きる巨大生物、クジラです。

地球でもっとも大きな動物である、シロナガスクジラ。
1000メートルもの深海で獲物を狩る、マッコウクジラ。
同じクジラでも、住む場所や時代がちがえば、その姿も能力も大きく異なります。

暗い深海もなんのその! 音で獲物を探し出す、エコーロケーション。
海水ごと丸呑み! その大きな体に備わった、プランクトンを効率よく食べるための秘密。
長い進化の歴史のなかで、クジラが獲得してきたたくさんの技と機能。その秘密に迫るべく、本書がはじめに描くのは、5000万年前の地球です。

そんな太古の大自然、川のなかを四本足で歩き回る、オオカミに似た動物がいます。その動物の名前は、パキケタス。なんと、クジラとは似ても似つかぬその動物こそ、初期のクジラの仲間なのです!

そこからクジラは少しずつ、水のなかでくらすための体に進化していきます。4000万年前には、どうやっても恐竜にしか見えない恐ろしげな姿に変わり、やがて、水の抵抗を受けない、いまのクジラに近いなめらかなシルエットに進化していきます。

そして、注目すべきは鼻の穴! 他の哺乳類と同じく顔の前面についていたクジラの鼻の穴ですが、5000万年の時のなかで、彼らの鼻の穴は少しずつ、少しずつ、別の場所へと移動していって──?

クジラの祖先を追いながら、5000万年におよぶ進化の奇跡を追体験していく本書。知られざるクジラの生態を学ぶことができるのはもちろんですが、広大な海を生きる彼らの姿を描き出したイラスト群が、迫力抜群!

時に暗い深海を、時に明るい水面近くを泳ぐ、クジラたち。イラストに描きこまれたその巨大なサイズ感に、圧倒されます。
特に印象的なのは、太古の巨大ザメ「メガロドン」と、一本が30センチもある牙をズラリと揃えたクジラ「リビアタン」を描いた一枚! 鋭い歯と巨大な体を備えた両者の戦いは恐ろしくも神秘的で、ページをめくった瞬間にゾクゾク……!

5000万年が育んだ進化の奇跡を、大迫力のイラストと共に紐解く科学絵本です。

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レビューのご紹介

他の生物の進化に関する絵本も読んでみたい

とても興味深い絵本でした。

説明は分かりやすく絵もリアルで、進化やクジラに関する知識が全くなくても、最後まで読んでしまえるような内容でした。

この絵本は哺乳類であるクジラの進化だけを取り扱っていますが、爬虫類や魚類、鳥類の特定生物の進化に関する絵本が出版されていたら、ぜひ読んでみたいと思いました。
(めむたんさん)

これはすごい

クジラがどう進化したのか、クジラ以外の進化の先、クジラについての情報が盛りだくさんです。恐竜がいた頃はどうだったか、どうしてそこから進化したのか初めて知ることばかりでした。

初めて聞く生き物の名前もでてきて驚くことばかり。海の生物が好きな子どもと一緒に読んだら盛り上がりそうです。クジラ博士になれそうな絵本です。

(バーバショコラさん )

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