土田晃之「勉強しなくてよかった」業界を生き残るための能力とは?昔と今のエンタメの違いを語る【『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』発売記念インタビュー】

文芸・カルチャー

公開日:2025/9/12

●勉強しなかったからいろいろ鮮明に覚えている

――本書には土田さんが親しんだ昭和のアイテムがいろいろ紹介されているわけですが、それにしても、なぜこんなによく覚えているのでしょう。

土田:勉強しなかったからです。記憶力が本当にすごいってよく言われるんですけど、多分みんなのハードディスクの容量が一緒だとするならば、僕は勉強全くしてないから、アニメでもなんでも鮮明に覚えているんですよね。今、「アメトーーク!」で“○○芸人”やるときとかも、新しく見直さなくても喋れるんで、そういう意味では勉強しなくてよかったと思います(笑)。

――なんと! 今の仕事にぴったりですね。

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土田:本当にそう思います。そのかわり算数も何にもできないんで。ラジオやっていても漢字も読めないし、ひどいもんですよ。

――なにか本質的な「賢さ」があるんですね。

土田:「賢さ」を見せるのが上手なんですよ。だからクイズ番組とかで「賢い枠」とか言われると、「おいおい出身校、調べろよ。当時は埼玉県で2番目にバカな学校だぞ」って(笑)。

 昔、『ヘキサゴン』って番組で20人くらいの出演者の中でお客さんが正解者を予想したとき、俺トップ3だったんですよ。実際やったら下から3番目で「羞恥心」よりアホで。だから世間って騙されるんだなと思いましたね(笑)。ほんと九九を子どもに教えるときも九九シートないとダメだし、ローマ字も読めないし。たまに子どもと「勉強しろとか言わなかったじゃん」って話になったときも、「でも俺は金稼いでるじゃん。だから生きる能力を得なさい」って話をしますね。

――確かに生きる能力ですね。

土田:あの頃は今より学力に差があったし、終身雇用で「いい会社に入って死ぬまでその会社に」って時代でしたけど、自分はいい会社には行けないし、高校出て働ける場所もたかが知れてたし、一攫千金狙うなら「この仕事しかないじゃん」って思いましたよね。何にも迷うこともなかったし、この仕事始めてからもうやめようと思ったことも本気で一回もない。だって他のことできませんから。「朝も起きれないしな」って当時思ってましたし。まあ今なんて何にもないのに5時台に起きちゃって、こんなに早起きになるとは思わなかったです(笑)。

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