土田晃之「勉強しなくてよかった」業界を生き残るための能力とは?昔と今のエンタメの違いを語る【『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』発売記念インタビュー】

文芸・カルチャー

公開日:2025/9/12

●「あの頃、こんなのあったね」「確かに、あったあった」みたいな本

――この本にはいろんな昭和アイテムがありますが、流行るスピードと勢いがすごかったですよね。口裂け女のような怪しげな噂も、インターネットもないのによくあんなに広がったと思います。

土田:結局、想像力ですよね。それじゃないとつまらないからね。あとは第二次ベビーブームの団塊ジュニア世代なんで、人口が間違いなく多いせいもあったと思います。

 前に『アメーーク!』で「花の47年組」って企画をやらせてもらったときに、メイク室で品川庄司の品川が「僕らは僕らの同級生を相手に仕事をしていけばいい」って言ったんですよね。「え、どういうこと?」って聞いたら、「下の世代はどんどん人口が減っている。そいつらに媚び売ったり、頑張って若い子にわかってもらうようなお笑いをやったりするより、死ぬまで自分たちの同世代に向けてやっていったほうがいい」って。わからなくはないなって。

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――この本のターゲットもまさにそうですね。

土田:そうですね。本当に同世代の人が友だちと話している感じっていうか。「あの頃、こんなのあったね」「確かにあったあった」みたいな本なんで(笑)。

――ちなみに土田さんはあの時代に戻りたいですか?

土田:いや、大丈夫です。ちゃんと経験したし。ただ戻りたいとかじゃないですけど、タイムマシンで過去に戻れるなら、中1に戻って部活をちゃんとやってみたいですね。中1の時に『夕やけニャンニャン』が始まっちゃって、それで部活もやらずにすぐ家帰ってテレビ見て熱狂して、「絶対お笑いやろう」みたいに思っちゃったんで。

 だから子どもたちには「別にレギュラーになれなくてもいいから、部活をちゃんと6年間続けろ。俺の人生で唯一の後悔はそこなんだ」って言ってましたね。4人いる子どものうち3人は男なんですけど、そのうちの2人はずっとサッカー部やってて、高3の子がこのあいだ引退して、家にユニフォームが干してあったんですよ。なんかエモくて、俺は人生でユニフォームとか着たことないから「かっこいい」って、たくさん写真撮っちゃいました。

――それはよかったですね! しかし部活をやめてしまうほど熱中するって…どうしてそこまでガッツリはまっちゃったんでしょう?

土田:性格だと思います。実は今年の1月からゴルフ始めたんですけど、もう上手ですから(笑)。本当に「100か0でいい」ってタイプなんで、「好きなことは100知りたいけど興味ないことは0でいい」と思っちゃってるんですよね。だからガンダムとかはベラベラ喋れたりするわけです。

――そしてそうした性格が、この本にもつながったわけですね。

土田:そうですね。そういえば、最近、あの頃のノリだなと思ったことがあって。僕がゴルフの番組に出させてもらったのを見た小中時代の同級生でゴルフやってる友達が「いよいよ土田がゴルフ始める!」ってアイアンセットをくれたんです。

 俺はそいつらに「あきべえ」って呼ばれてるんですけど、「あきべえは中学校の時にブリヂストンのロードマン(スポーツ自転車)めちゃめちゃ大事にしてたじゃん。だからあきべえはブリヂストンが好きだから、ブリヂストンのアイアンセットにした」って。確かに俺、ブリヂストンのロードマンに中学の3年間乗っていましたけどね(笑)。

 なんか「昭和」でエモいなと思ったし、それも彼の「記憶力」じゃないですか。なんで、ブリヂストンのアイアンセット、大事にしようと思ってます。

取材・文=荒井理恵、撮影=川口宗道

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