とっておきのお酒には、お気に入りの本を! 作家・道尾秀介さん、千早茜さんの愛読書
更新日:2025/1/31

コロナ禍で増えた「おうち時間」。特に、おうちで飲むお酒は最高だ。一日の終わりにゆったりとお酒を味わう時間はどうしてこんなにも私たちの心を満たしてくれるのだろう。せっかくならもっとその時間を濃いものにしたい! それなら、たとえば、お酒のお供にに“お気に入りの本”を加えてみてはいかがでしょうか。読む順番で世界が変わる最新作『N』が話題の作家・道尾秀介さん、書店員・新井見枝香さんと共著の『胃が合うふたり』が好評の千早茜さんも、大好きなお酒にとっておきの本をあわせているそう。一体どんな本を嗜んでいるのでしょうか?
- この記事の目次
- ・『世間のひと (ちくま文庫)』
- ・『センセイの鞄』
『世間のひと (ちくま文庫)』(鬼海 弘雄/筑摩書房)

お酒に合うのはこの2冊——直木賞作家・道尾秀介さんの「家飲み」の過ごしかた
直木賞作家・道尾秀介さんはもともとお酒好き。以前はよく飲みに出かけていたというが、コロナ禍になってからはやはり「家飲み」が増えたのだという。小説を読むと仕事の延長になってしまうため、日頃お酒のお供にしているのはエッセイや写真集。仕事柄、日中はひたすらフィクションの世界にいるので、仕事が終わったらリアルな世の中のことを知りたいという気持ちになるのだそうだ。中でも爆笑問題・太田光さんによる『芸人人語』(朝日新聞出版)や写真家・鬼海弘雄さんによる『世間のひと』(筑摩書房)を愛読。小説を書く上で生身の人間と深く付き合うことももちろん大切だが、本を読むことも小説の世界をリアルにするのに役立つのだと語る。
『センセイの鞄』(川上 弘美/平凡社)

本も食もお酒も、ひとつのものから次へとつながるものを見出す——小説家・千早茜さん
『西洋菓子店プティ・フール』(文藝春秋)や『わるい食べもの』(ホーム社)などの食にまつわる小説やエッセイ、SNSへの投稿でも話題の小説家・千早茜さんも、「家飲み」を楽しんでいる作家のひとりだ。千早さんが考える「お酒に合う本」は、『センセイの鞄』(川上弘美/文藝春秋)。さらには『センセイの鞄』の著者・川上弘美さんのエッセイに登場していたのをきっかけで手にとった、ひたすら料理の作り方を紹介したエッセイ『檀流クッキング』(檀一雄/中央公論新社)もお酒にピッタリの本だという。川上弘美さんのエッセイで『檀流クッキング』を知ったように、本を読むことには次につながる発見がある。それはお酒や食べ物を選ぶことも同じ。ひとつのものからどんどん派生していく楽しさを千早さんは感じているのだという。