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それを,真の名で呼ぶならば: 危機の時代と言葉の力

それを,真の名で呼ぶならば: 危機の時代と言葉の力

それを,真の名で呼ぶならば: 危機の時代と言葉の力

作家
レベッカ・ソルニット
渡辺由佳里
出版社
岩波書店
発売日
2020-01-30
ISBN
9784000237420
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それを,真の名で呼ぶならば: 危機の時代と言葉の力 / 感想・レビュー

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とよぽん

素晴らしいエッセイ集だった。前半は読み進めるのが辛くなるほど、アメリカ合衆国の今の惨状が書かれていた。後半、Ⅲのブラック・ライブズ・マターの事例あたりからピッチが上がった。人種の違いが生存権にまで影響する現実。ヒスパニック系、服の色、持ち物といった外見だけで危険人物と見なされ、警察官から何発も銃弾を撃ち込まれる・・・信じられない「自由の国」。裁判でも人種差別が公然と持ち込まれ、無罪の人が死刑囚になる。Ⅳの「可能性」では、市民による抗議・改革運動のうねりに希望を感じた。著者は勇気ある活動家だ!

2021/08/08

けんとまん1007

タイトルにある「真の名で呼ぶならば」が、こころに残る。そして、副題の「言葉の力」。今ほど、真の名で語ること、つまり、言葉の力が必要な時代はないのかと思う。フェイクが飛び交い、誹謗中傷が後を絶たない中、自分の頭で考えることの大切さを忘れてはいけない。論点をずらし、仮想敵を作り、トカゲのしっぽ切りに終始する今の時代。それでも、希望はあるという主張に賛成だ。表に出す、論点にする・・・そこから、物事は始まる。それは、後に残るのだ。

2020/04/19

きいち

トランプ下のアメリカで、不条理や不公正を正すために戦うことは本当に厳しい闘い…効果的なはずの「怒り」を直接出しても耐えても苦しいし。それは異なる相手と対話しようという姿勢自体への攻撃、普通の人からの命の危険…。同じことは日本でも起こっている。まだマシと思いそうな自分がいる。いや、明確な暴力の形をとらないぶん、より有害かもしれないとわきまえねば。◇武器は、名前をつけること。名づけることで認識が変わり現実が動く。「災害ユートピア」の著者ならでは。◇そう、100%の勝利を求める必要も、敗北に挫折する必要もない。

2020/05/05

たまきら

今を生きる男女すべての方へ勧めたい一冊です。どのエッセイも磨かれたかのように無駄のない言葉が並び、ただただ読みふけりました。どう努力しようと批判され続ける「女性」への女性からのことば。21世紀を娘たち、そして息子たちが新たな進化の場としていくための礎になるような、はじまりであって終わりのような言葉です。秀逸。

2021/01/19

踊る猫

思慮深さ、冷静さ、動じなさ。これは一見すると派手さもなく、他人に強く訴え掛けるキャッチーなところもないので、センセーショナルなものが持て囃されがちな昨今分が悪い。フェイクニュースの乱立でその傾向はますます強まっている。レベッカ・ソルニットは豊富なエビデンスを武器に、しかし丹念に論理を進めていく。彼女の声は従ってそんなに大きくないし、派手でもない。だが、市井の人の傍らで息をしている人の温もりは伝わる。悪しき「リベラル」にはないハートウォーミングな筆致、支持したい。彼女のエッセイから読みたい本が増え、癒された

2020/03/04

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