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風に立つ (単行本)

風に立つ (単行本)

風に立つ (単行本)

作家
柚月裕子
出版社
中央公論新社
発売日
2024-01-10
ISBN
9784120057281
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「風に立つ (単行本)」のおすすめレビュー

柚月裕子初の家族小説! 不器用な親子のすれ違う思い。ふたつの家族の心の内に迫る

『風に立つ』(柚月裕子/中央公論新社)

 親子は距離が近すぎる分、かえって気持ちが伝わりにくい。仕事第一で不器用な父とその息子となれば、なおのこと。些細な行き違いが積み重なり、わだかまりを抱えたまま暮らす家族も少なくないだろう。

『孤狼の血』『検事の本懐』など警察小説やミステリーで実績を残してきた柚月裕子さんがこのたび挑んだのは、そんな家族をめぐる物語。『風に立つ』(柚月裕子/中央公論新社)は著者初の家族小説であり、2組の親子の胸中をひもとくミステリーともとれる作品だ。

 家庭裁判所には、問題を起こした少年の処分を決める前に、しばらくの間少年を個人や施設が預かる「補導委託」という制度がある。岩手県盛岡市で小さな南部鉄器工房を営む小原孝雄は、72歳と高齢ながら補導委託先の民間ボランティアに名乗り出た。だが、息子であり工房で働く職人でもある悟は、困惑を隠せない。非行少年と暮らすなんて、何かあったらどうするのか。そもそも自分の子どもには手をかけなかった父が、なぜ他人の子の面倒を見る気になったのか。父親の真意がわからないまま、小原家は庄司春斗という16歳の少…

2024/2/15

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風に立つ (単行本) / 感想・レビュー

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starbro

柚月 裕子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、補導委託群像劇家族小説の佳作でした。但し、著者の作品としては物足りない感じです。本書で、「補導委託」という言葉を初めて知りました。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/01/005728.html

2024/01/23

いつでも母さん

ソフトな柚月作品。南部鉄器の職人の事、補導委託の取り組み、そして二組の父と息子・・家族の物語だった。人と人を繋ぐって、言葉にしなけりゃ伝わらないことはある。家族だって同じだ。良かれと思っては本当に子の為か?放任に見える子育ての真意は?幸せって・・何?家族の数だけ物語はあるのだ。本作はみんな良い人で恵まれた結末だった。頑張れ、春斗!と思うものの、私の欲する柚月さんはこれじゃないんだなぁ。ヒリヒリして、哀しい漢が読みたい。悩んでも救いが無くてもいいから・・って求めてしまうワガママ読者で申し訳ない。

2024/02/07

パトラッシュ

補導委託を志願した職人親子の思いと葛藤の物語だが、過去の柚月作品に比べ軽く感じたのは否めない。新聞連載小説という性格上、全登場人物が理解し合うハッピーエンドとする必要性はわかるが、本当の意味での悪や不条理や狂気が全く出てこないのだ。本来なら春斗が孝雄の妻を殺し、春斗の父はどうしようもないクズ親で、孝雄と悟が本物の悪人は誰なのか裁判を通じて懊悩するドラマに仕立てただろう。しかし、そんな暗い話は願い下げな一般読者は、気持ちのいい本を読めたと満足するに違いない。広く受け入れられる模範的な大衆小説ではあるのだが。

2024/02/05

タイ子

いつものちょっと角が立った男前の柚月さんではなく、読む者の心を同感させ、時には反発さえ覚えながら作品に寄り添って読める人間ドラマ。昔ながらの工法で作る南部鉄器の伝統を守り続ける父親、後継者の息子・悟、職人たち。補導委託を受けて家裁から送られてきた一人の少年。彼が来たことで悟の父親に対する不満、不信感が募って行く。彼の存在は悟にとって起爆剤だったのか。親が子供に対する愛情、子供が親に対する信頼。家族の難しさを老眼に例える件は分かり易い。大人の階段を昇る者、昇った者、誰しもの人生はまだ途中だということ。

2024/02/18

hirokun

★4 今回この作品を読む中で、少年審判前の補導委託制度について初めて知った。この制度により委託を受けた少年と家族の触れ合いを通じて人生、一人の人間が持つ奥深さを描く家族小説。柚月さんの小説には珍しく悪人の登場しない、心温まる人間の素晴らしさにゆったりと浸ることが出来る小説で、心地よい読後感が得られた。最近の小説ではやたらと現代社会の課題を問題提起するものが多いが、今回のような作品も人を前向きにしてくれる。

2024/02/11

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