北村透谷選集 (岩波文庫 緑 16-1)
北村透谷選集 (岩波文庫 緑 16-1) / 感想・レビュー
壱萬弐仟縁
31頁の絵画は失策というが、そんなことはない(30頁)。獄舎の詩は初めてみたテーマ。「抑(そもそも)、平和は吾人最後の理想なり」(104頁)。最初から理想だが、最後ということは、到達するのがいかに困難か。「人生は戦争の歴史なり。(略)人生即ち是れ戦争」(117頁)。生存競争の厳しさ。「何の為に、何の故に、人は世に生息するやと疑ひ惑ひ」(云々、123頁)と指摘するのも理解できる。26歳で亡くなった著者の心の底。「Pleasureなるものが、詩の美に於て、欠くべからざる要素なる事を知るを得べし」(235頁)。
2013/10/11
双海(ふたみ)
「恋愛は人世の秘鑰なり、恋愛ありて後人世あり、恋愛を抽き去りたらむには人生の何の色味かあらむ」で始まる「厭世詩家と女性」、「天地愛好すべき者多し、而して尤も愛好すべきは処女の純潔なるかな」と云う「処女の純潔を論ず」が興味深かったです。
2014/04/11
モリータ
事あるごとに思いだされ、藤村の「春」にそのまま引かれていた「双蝶のわかれ」が確認したかったので。何かまた戻ることがあったら読みます。
2014/07/08
還暦院erk
図書館本。実は本書約400頁のうち、50頁余り未読なのだが、12頁もノート取ったので許して欲しい(←誰への言い訳?笑)。非常に苦労して精読した…坪内逍遥の評論より大変だった。難語に「こなれた和語のルビ」を振ってないからね(←この工夫は逍遥さん流石と思ったものだ)。本格的な漢文の句法が出てきて、抑揚やら二重三重否定やら婉曲やら読解しにくいことこの上ない。昔京都大学の記述式国語試験で近代文語文として出題されてたのもむべなるかな。おっと、もう字数が無い。内容は深くて「読んで良かった」。詳細はコメント欄へ→。
2019/07/08
愁
全集にしろ選集にしろ、透谷の作品が手に入りにくい現状。多少マニアックな存在なので仕方ありませんが、この岩波版選集くらいは常時書店に置いていて欲しいですね。内容的には代表作はだいたい抑えてあるので、透谷に深く入る取っ掛かりには持ってこい。賛否やスペースの都合もあるかと思いますが、「蓬莱曲」も収録して欲しかったです。
2015/06/09
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