戦争と罪責 (岩波現代文庫 社会332)
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戦争と罪責 (岩波現代文庫 社会332) / 感想・レビュー
Momoko Nishikawa
戦後の日本帝国軍人たちのメンタリティ、それは社会の指導層のメンタリティに繋がっている。訳のわからないものとして抑圧されているが、言語化できていないし感情として腹落ちしていないものは、時に暴れ回る。右翼学生が、戦時下南京でしたことのように。 今から見ると考えられない非道だが、罪の意識なくできてしまう色々な仕掛けがあった。この仕掛け抜きには、戦争は続けられない。 その仕掛けは今もちょっとしたところに、チラホラ見受けられると思える。
2023/08/20
com.
ずーっと読むのが辛かった。こんなしんどい本、初めてやった。
2023/02/24
CBF
(★★★★☆) 戦場で残虐行為を行った兵士たちの心情を精神病理学者が丹念に聞き取る。集団に順応することを求められる社会において、抑圧された「個」の感情を私たちはいかにして回復するのだろうかー。 原爆被害など、日本の戦争をほぼ被害の側面からしか自分が学んでいなかったことを痛感させられた。また、戦争の傷が個人を超えて社会全体や次世代へ影響を及ぼすということを読み、自分含め今も無関係とは言えないんだなと感じた。 『私が罪の意識を問うのは、他者の悲しみにやさしい文化を創らなければ、平和はないと考えるからである。』
2022/11/02
はやみん
日中戦争、太平洋戦争に従軍した人たちが行った残虐行為の告白には精神を削られるが、本書の本題は行為そのものではなく、それを行い得る精神構造と、戦後をそれを罪と認識するにいたる過程の分析にある。そして、現代に生きる私たちが直接的な加害者ではないとしても、罪を罪と認識できること、それのできる感情を持つことの重要性を強調し、一方でいかに現代日本が意図的、非意図的にせよ、その感情の希薄な社会であるかを指摘している。
2023/06/22
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