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いも殿さま (角川文庫)

いも殿さま (角川文庫)

いも殿さま (角川文庫)

作家
土橋章宏
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-08-24
ISBN
9784041116517
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いも殿さま (角川文庫) / 感想・レビュー

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あすなろ

食道楽でお菓子に目がない定年間際の目立たぬ堅実な勘定方に大岡越前が目を付けて送り込んだ先は鳥取岩見であった。土橋氏特有の面白味やスピード感は薄めではあるものの、史実に基づいたこの主人公の実直さがこの感も是としてくれるのである。また、個人的には出張で数回訪れた鳥取岩見の風景が思い浮かび、より一層良かった。割とサラッと土橋氏は描かれている感があるが、政治や行政というものに対峙する主人公に心打たれる作品であった。当面、薩摩芋や薩摩芋を使った料理を見るとこの主人公の事を思い起こしそうである。

2022/04/30

きょう

久々の一気読み。一年半の話だからというわけではないと思います。一生分の苦労をしたかのような~それなのに悲壮感がなく、次々と対策を繰り出す彼こそ「お代官さま」。気候や噴火などたいへんだった江戸時代、各地の代官も精勤していたと信じたいです。殿さまと呼ばれていた、と聞いて大岡忠相が納得したこと、最期に唐芋と黒糖の菓子を食べられたことがせめてもの救いです。いや、井戸さんのような周りが理解できないほど頭の回転が早い人にとっては、赴任の時からこんな最期も選択肢のひとつとして覚悟していたのかも…。

2021/11/13

アンベラー

作者2作目読んだ 実在した人物を盛り込んだお話し時代物だけどどこか柔らかなタッチで読めた 領民思いのいも殿様心がほっこりした

2023/12/31

綾乃

勘定方の旗本・井戸平左衛門は引退後の甘味巡りを楽しみに、隠居届を出そうとしたその日、奉行・大岡から飢饉と悪性に苦しむ天領岩見の立て直しを命じられる。 石見の疲弊具合を見た平左衛門は、餓死者を出さないために年貢の免除、配下に薩摩から持ち出し禁止の赤芋(さつまいも)を買い付けに行かせるなどの策を次々と講じるが、蝗の襲来などで飢饉は収まるどころかさらに拡大していき。 領民を救うため最後の手段として、幕府へ年貢の免除申し出と年貢米の放出に乗り出した平左衛門の善政を時にユーモアに描いた時代小説。

2022/08/21

しげりん

「士農工商」で身分の差が当たり前だった江戸時代に、こんな利他の意識を強くもった領主がいたとは!てっきり架空の人物かと思ったら実在していたとは‼︎ 石見が享保の大飢饉で苦しむ中、自分を犠牲にすることも厭わず、餓えを防ぐ策を捻り出す姿勢は政治への不信感が高まっている今、爽快に感じられた。結末は残念だったが、平左衛門は武士として美学を貫いたのだろう。多くの民から信頼を得た上で、早逝した息子伊織のもとへ行ったことに満足したのだと思いたい。 面白かったし、感動したし、人生の勉強にもなった。もっと有名になって欲しい。

2024/02/26

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