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日曜日の人々

日曜日の人々

日曜日の人々

作家
高橋弘希
出版社
講談社
発売日
2017-08-24
ISBN
9784062207089
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「日曜日の人々」のおすすめレビュー

自傷癖や不眠症、拒食症…心に傷を抱えた若者たちを描く 高橋弘希著『日曜日の人々』

『日曜日の人々』(高橋弘希/講談社)

 人が「生きたい」と思う理由はひどく些細なもので、ふとした瞬間にそれを見失ってしまうとしても不思議なことではない。年間約3万人。減少傾向にあるとはいえ、多くの人が自ら死を選ぶには、どんな理由があるのだろう。なんとなく生きづらい。生きる意味が見出せない。もし、死に向かいたくなる理由を具体的に言語化することができるならば、それは救いになるかもしれない。

 高橋弘希氏著『日曜日の人々』(講談社)は死に惹かれる心に静かに寄り添う青春小説。高橋氏は、2014年『指の骨』で新潮新人賞を受賞、芥川賞候補作にも選ばれたことで知られるが、最新作『日曜日の人々』は、彼の新境地といえる。自助グループに通う心に傷を抱えた若者たち。彼らは何を考え、何に苦しんでいるのか。心に傷を抱えた人たちに、この小説はやさしくそっと寄り添う。

 主人公は、大学生の「僕」。彼は、同い年の従姉・奈々と互いに好意を寄せ、恋人のような関係を築いてきた。しかし、ある時、奈々は自殺してしまう。後日、「僕」のもとに送られてきたのは、彼女が残した手記。そこには、自傷癖や不…

2017/10/28

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日曜日の人々 / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

謎のままのラストにももどかしさはない。彼には他の3人と一緒に死ぬ理由がない。ただ、彼だけ助けた男のことやななを妊娠させたAの存在が放置されている。自殺や自傷行為には私は懐疑的ですが気持ちがわからないというとはありません。行為を思いとどまらせる場所、寝室に集い「朝の会」を朗読することが一種のカウンセリング効果となっており、その場の空気やリアルな情景が優れた文章でヒリヒリと入ってきた。喪失をうめるためだったのだろうか、彼の最後の行動は。背景が積み重なると塵の一つでも引き金になるというのはそうなのかもしれない。

2019/11/01

かみぶくろ

自傷、拒食、盗癖、不眠、自死遺者。実際に自分がこうした性向を一つでも持っていたら、確かに安易に希望を語るのは難しいと思う。それでもなんとか、不細工ながらも、生の方を向くだけ向かせて着地させたラストには、筆者の願いみたいなものが込められているように感じた。今までは詩的な表現で行間を読者に委ねてきた筆者だが、本作は行間を自分で埋めて読者に問いかけているためか、仄かな熱量がある。引き続き、死についての考察を続けてほしい。

2017/10/15

なゆ

これまでも“死”を近くで見つめてるような作品のイメージだったけど、これも“死”への思いから逃れられない。その仄暗さに窒息しそうで苦しかった。親しかった従姉の奈々の自死から関わることになった、自助グループ「レム」。奈々の生前の足取りを追うつもりが、どこから歪んていったのか。“死”を見つめる人達の、不眠症や摂食障害や自傷などの苦しみと、そこへ至るまでの逃れたい苦痛も読んでて辛い。「レム」は“死”が近くにある場所なのかもしれない。ただ、ラストは明るい兆しだと、「生きたい」ということなのだと思いたい。

2018/07/30

アマニョッキ

久しぶりにかなりつらい読書でした。こんなにかわいい表紙とタイトルからは想像できないくらい、痛々しくつらい叫びに満ち溢れています。「飽和した感情が外へ向けば暴力となり、内へ向けば自傷となる。過食も拒食も不眠も自傷の一種だ。」自分の身体に痛みを与えることでしか生きている実感を持てない人たちと、そうでない人たちを隔てる壁はなんなのか?読んでいてもはっきりとは分かりませんでした。座間市の事件を思い出したりもして、内臓をぎゅうと締め上げられているような気持ちの悪さを覚えました。

2017/12/02

*maru*

高橋さん2冊目。自ら命を絶った従姉から届いた手記らしき紙の束。不眠、拒食、自傷、窃盗など悩める者たちの交流の場「レム」に参加していた彼女。人間が個人で抱え込める感情には限界がある。人間は感情を飼い慣らすことはできない─。感情のファイルに上書きされる痛み、苦しみ、哀しみたち。衝動的だったことも、やがて慢性化し、死への憧憬や死に対する畏怖に心も体も蝕まれる。その先にあるのはやはり死…なのか。ざわめき、高鳴り、加速する終盤に不意に訪れる静寂。衝撃、動揺からの見事な着地。拒食や過食、傷口も“言葉”なんだ。

2018/11/16

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