KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

新装版 二十歳の火影 (講談社文庫)

新装版 二十歳の火影 (講談社文庫)

新装版 二十歳の火影 (講談社文庫)

作家
宮本輝
出版社
講談社
発売日
2005-10-14
ISBN
9784062752206
amazonで購入する Kindle版を購入する

新装版 二十歳の火影 (講談社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

Shinji Hyodo

あとがきまで入れて39編。ページにして、わずか218ページのエッセイ集。なのに思う事、感じる事が沢山有って、感想に出来ない。宮本さんは、父上が御歳50歳の時の作品だそうで、その父上に溺愛されて成長するのだが、父上の事業の失敗からおそらくは思いもよらぬ人生を辿り出す。その中で様々な小説に出会い鬼気迫る如く読み耽り、その事が作家宮本輝の礎となっている…のであろうか。消毒用アルコールを飲んで酷い目に遭ったりした青春時代を過ごしたことなどは、自分と変わらないのに…。特に優しかった頃の父上の事が偲ばれる。

2015/06/14

とりあえず…

好きな作家さんのエッセイを初めて読む時、いつも緊張する。エッセイは時として赤裸々すぎ、過剰すぎることがあり、興醒めしてしまうから。 このエッセイは実に良かった。宮本さんの作品同様、沢山の言葉を紡ぎながらも語り過ぎず、こちらが入る余地を持たせてくれていて居心地が良かった。宮本さん自身「抑制と省略」と書かれていますが、盛り盛りの文章は面白くはあっても、疲れたり、心に残る箇所が意外になかったりするもの。抑制の効いた文章だからこそ、心に残る風景や言葉がある。 俄然、宮本さんの作品を読みたくなりました。特に初期の。

2015/08/27

佐島楓

「蜥蜴」と「手紙」に言い表せないほどの哀しみを感じた。題材が暗いものでなくても、どうしてこう哀しみがつきまとうのだろう。ただ、しみじみとしていて、悪い哀しみではない。田辺聖子さんの解説が深いところをついていらしてとてもよかった。

2014/01/17

まーみーよー

初出が1970年代後半から1980年にかけてのエッセイ集。どれもよかったが、特にⅡ、Ⅲの宮本さんの思春期から青春時代が面白い。その中でも「押し入れの中」での宮本さんの文学感が興味深かった。氏にとっての小説は「私は文学を論理的に考察するほどの明晰な頭脳には恵まれておらず、ただそこに映し出される虚構の世界に陶酔する子供じみた憑依性だけを持ち合わせている」という。ただそれこそが純粋に小説を楽しむ真髄なのかもしれない。田辺聖子さんの解説も良かった。

2024/02/19

桜もち 太郎

2500冊目の記念に選んだ一冊が宮本輝の「二十歳の火影」だ。学生のころから読み倒していた作家だ。この作品は宮本輝はじめての随筆集で、1980年前後の作品が収録されている。良かったのは「途中下車」と「蜥蜴(とかげ)」だ。特に蜥蜴は若いころに読んだ「春の夢」の最も重要で印象的な個所が書かれていた。蜥蜴に刺さった釘が人間にもあって、それを抜くような荒療治をしなければならない時があると述べられていた。人生の大きな転換を成し遂げるにはどうしたらいいのだろうか。そんなことを考えさせられた。→

2022/05/17

感想・レビューをもっと見る