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出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書)

出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書)

出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書)

作家
斎藤美奈子
出版社
講談社
発売日
2023-06-22
ISBN
9784065293577
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出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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yumiha

今のところ「出世」も「恋愛」も縁のないけど、斎藤美奈子の著作は、遠慮のない言説を展開するから、どう近代文学を読み解いているのか気になった。本書でも「三四郎は二番手男子」だの「広田サロンはホモソーシャルなボーイズクラブ」だの、夏目漱石が啞然とするだろう分析。島崎藤村も「暗い、まどろっこしい、サービスが悪い」と歯に衣を着せぬ評価。他にも取り上げた近代文学はほぼ全て辛口評価。それだけではなくその共通点も分析する。その視点は、身勝手な男性作家のご都合主義を暴き、その被害にあってしまったヒロインの側に立っている。

2024/02/24

たまきら

痛快痛快。世の中男性がハーレクインや宝塚を鼻で笑うのはよく見ますが、いわゆる男性が書いた「近代小説」にパターンを見出し、「はいはいホモソーシャルな優等生による妄想小説ね」などといった感じでバッサッバッサ斬り倒していくのを笑っているうちに読み終わっちゃいました。は~おかしかった。恋愛には両サイドのストーリーがあるのに、多くの場合語り口はワンサイドだからこうなっちゃうのよねえ。

2024/01/24

ケイトKATE

明治、大正、昭和初期の小説には似たようなパターンがあることを斎藤美奈子が切れ味抜群に検証している。青春小説の主人公の男性は、地方から上京して都会の女性に魅了されるが何もできずフラれる。恋愛小説の主人公の女性は、相思相愛の相手がいるがこじれてしまい若くして死ぬ。特に斎藤美奈子は、男性の登場人物のグズっぷりを容赦なく核心を突いたツッコミを入れているのでぐうの音も出ない。日本の近代小説が同じ内容なのは、当時の日本が立身出世を良しとされていたことが原因であった。また、ホモソーシャル社会の弊害の指摘も鋭い。

2023/10/17

おかむら

田山花袋「田舎教師」武者小路実篤「友情」尾崎紅葉「金色夜叉」伊藤左千夫「野菊の墓」…。聞いたことあるけど読んだことない明治大正期の青春恋愛小説の王道パターンを斎藤美奈子が楽しく解説。告白できない男たちと死に急ぐ女たち。相変わらず斎藤さんの分析は面白いわ! 野菊の墓とノルウェイの森と世界の中心で愛をさけぶの類似点、「回想の額縁効果」には笑った。男ってやつはよお…。

2023/12/20

M H

小さい頃、子供用の日本近代文学をしばらく読んでいたが登場人物が死んでしまったり不幸せな話が多くてやめてしまった。本書はそのあたりの背景をスパッと読み解いてくれる。ヒロインはなぜ病気や事故で死ぬのか。そこには作者の技術不足や立身出世に突き進む価値観、純潔を求める大衆心理があるのだと。裏で彼女たちは闘っていたのでは。都合よく殺されてたまったもんじゃないっ。斎藤さんの考察とツッコミに膝を打ちながら思った。勉強になったけど題材になった本は読みたくない…

2023/07/31

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