小説の未来 (講談社文芸文庫)
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小説の未来 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
Foufou
かつて『小説から遠く離れて』という画期的な評論があって、村上春樹や丸谷才一の「玄人離れ」を促進したように記憶するが、本作はそれの向こうを張るとも言うべき、扱われた作品のすべてを読者が読みたくなるような言説に満ち満ちているという点であまりにも感動的。解読格子に当てはめて優劣を決定するようなテクスト論からは遠く離れ、作品から聞こえる肉声にじっくり耳を傾け、肌を撫ぜてその質感を丹念に触知するといった、愚直かつは繊細な読み。なぜか救われるのです。もう著者に会えないのがこんなに寂しいとは。
2023/08/18
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