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伝言

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作家
中脇初枝
出版社
講談社
発売日
2023-08-23
ISBN
9784065325339
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伝言 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

『だれにも言わなければ、なかったことになる。』人は都合のいいように記憶をすり替えたり忘れたりする生き物だものね。読み進むにつれドンドン私の怒りが溢れ出した。そして、虚しくて哀しくてやりきれない。まさに今現在も何やってるの世界は。いや、もっと身近なことすらそうなんだ。私たちに出来ること・・言い続け、聴き続け、知り続け、伝え続けたい。中脇さんの意志が伝わってくる様な凄い作品だった。お薦めです。

2023/10/24

モルク

満州新亰の女学生ひろみ。戦時下で憧れの女学校に入学したものの制服は変わり授業も次第に勤労奉仕に。自分が何をやっているか寝言でも言ってはいけないと箝口令がしかれるが。満人たちをこきつかい恵まれた生活をしていた日本人が、敗戦ロシアからの侵攻で窮地に追い込まれる。その時既に軍、政府満鉄関係は逃げ去り残っているのは一般人と北部から逃げてきた開拓団の人々、そして言葉に尽くせぬ過酷な日々が始まる。中国人李太太、軍気象隊島田の視点でも描かれ新たな真実も。私たちは真実から目を背けてはいけない。きちんと後世に伝えなければ…

2024/03/05

ちゃちゃ

「わたしは忘れない」「わたしが伝える」。ラストの力強い決意に胸が熱くなる。戦前、ひろみが生まれ育った満州の地で経験したこと。学徒動員で風船爆弾製造の一端を担ったこと、中国人差別に疑問を感じなかったこと、引き揚げの際の悲惨な状況…。戦後、父親の故郷・高知県で暮らし、ひろみがずっと心に秘めてきた痛みや悔い。無知だった自分の罪。それは何十年経っても消えはしない。だから、経験したことを伝える。未来へ希望を託しバトンを繋げるために。繊細かつ抒情的な筆致で、歴史的な事実をもふまえ、戦争の実相に真摯に迫った良作だ。

2024/01/15

のぶ

戦時下の満州での生活を中心に描いた小説で、非常に読み応えがあった。今まで戦争の小説は多く読んできたが、これほどリアルに感じた作品は他にはなかった。主人公の﨑山ひろみは満州国生まれ、国都新京(長春)に家族で暮らす、新京敷島高等女学校の3年生。関東軍の指示にしたがい、お国のため、兵隊さんのためと真面目に勤労奉仕に取り組んでいた。しかし、思いもよらぬ敗戦。そうと知った時、関東軍は満州開拓民たちを見捨ててとっくに撤退済。取り残された日本人たちの運命は?その混乱の世界に戦争の悲惨さが伝わってきた。

2023/12/17

ゆみねこ

満州国・新京、女学校の生徒ひろみは軍の機密の作業を担っていた。それが何に使われるものなのか、知らされず「お国のために」と真剣に。やがてソ連軍の侵攻により、過酷な運命をたどり四国へと引き上げることが出来た。戦後、様々な資料から、満州で自分がやっていた作業の意味を知る。自分が見たこと聞いたことを忘れてはいけない。もう二度と同じことが繰り返されないように。戦争の愚かさを知るために、多くの人に読んで欲しい1冊。お薦め。

2023/09/10

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