KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

ひとたびはポプラに臥す 2 (集英社文庫)

ひとたびはポプラに臥す 2 (集英社文庫)

ひとたびはポプラに臥す 2 (集英社文庫)

作家
宮本輝
出版社
集英社
発売日
2023-01-20
ISBN
9784087444742
amazonで購入する

ひとたびはポプラに臥す 2 (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

KAZOO

宮本さんのシルクロードの旅の第2巻です。ここでは、火焔山近くのトルファンからカシュガル経由アルカンドまでの道のりが記されています。運転手が代わるものの、通訳やそのほかの5人全員は同じ道中です。この劣悪な環境でよく仲たがいしない気がします。輝さんと次男の親子喧嘩があると思いきやそんなにあまりギシギシはしません。さまざまな文学からの文章の引用や父親の思い出なども時たまあり飽きさせないで旅に連れて行ってくれています。

2023/10/16

aika

「私はなんのために人間として生まれてきたのか。」羅什少年が仏の教えを求めて母と歩いた艱難の道は、死が平然とそこにあり、一瞬で去っていく世界。人々も街もどこか昭和20~30年代の日本と似た空気感をもつという新疆ウイグル自治区を駆け巡りながら、待ち望んだクチャの地を踏む一行の感動が荘厳さを以て伝わってきました。丸3日間何も飲んでいないという羊飼いの青年との出会いや、作家自身の血肉である井上靖や開高健、漢詩など名作の一節の数々が印象的です。シルクロードを舞台に繰り広げる宮本親子の壮大な父子ゲンカには笑いました。

2023/05/18

もえ

新装文庫版の第2弾。西安から2887キロを経て新疆ウイグル自治区のトルファンへ。天山南路の道筋は砂漠の砂嵐と竜巻と蜃気楼ばかり。相変わらず食事とトイレ事情も悪い。過酷な行程を経て、鳩摩羅什の故郷であった亀茲国・クチャに辿り着き、作者は生かされた命の幸運と自分の使命に思いを馳せる。クチャからアクス、カシュガル、ヤルカンドへ。漢人とウイグル人との確執や、日本の昭和30年代を思わせる純朴なクチャの市井の人々、傍若無人な公安警察の態度など内陸の中国事情も伝わる。作者は意外にも大胆で時折やんちゃっぷりを発揮する。

2023/07/07

kiiseegen

講談社文庫版3、4巻を合本した新装版。トルファン到着からコルラ、クチャ、アクス、カシュガルを経て、一旦、南下しヤルカンド到着まで。次巻でこの紀行も終わる...。

2023/01/25

ひつじパパ

人が、蜃気楼の中から作者のいる場所へ向かってきて、また遠くどこかへと消えゆく光景が何度もこの巻であった。それらに作者はこの国の民族性、血族、歴史観などを感じて、様々に論じるのだが、私が一番関心をもったのは、中国の五胡十六国時代の民衆の無常感。乱世に巻き込まれた民衆の無常感は、やがて健全な道心へと向かわざる得なかったが、太平洋戦争が終結した日本では、逆にアメリカは日本人に道徳教育を与えないとのもと、精神を骨抜きにしてしまった、とのこと。頷ける点もあるが、それをマクロガルという昆虫に似せたのは面白かった。

2024/02/15

感想・レビューをもっと見る